いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「義妹生活15」三河ごーすと(MF文庫J)

義妹生活15 (MF文庫J)

初めての夜を迎えた悠太と沙季。初体験は二人の関係を大きく変えてしまうのか、それとも何も変わらないのか。その答えは、これから二人が人生を歩みながら作っていくのだろう。大学生活が本格的に始まり、新しい友人と付き合い、新しい職場で働き、新しい日常を過ごす。生活時間のズレは小さな隙間を生んで、時間とともにゆっくりと拡がっていく。
二人は自分の人生を生きながらも、綻びを縫い合わせるように歩み寄り――
初体験、SNS、仕事での失敗、学外での出会い、パパ活の話題、運転免許の取得、二人の思い出の記録。互いの人生を生きる“兄妹”が、距離を越えて共に歩む恋愛生活小説、第15弾。


大学生になった二人の春から夏までの様子を描いたシリーズ15巻。
事後(所謂朝チュン)で済ませるかと思っていた体を重ねる描写をプロローグに入れてきたことに驚いた。身体よりも心の繋がりを臆病なほどに大事にする二人のやり取りは、生々しくならず、初々しく、どこか綺麗で二人らしい初体験で良かった。
そんなわけで過去一番心の距離が縮まった状態で始まった今回は、これまでから大きな変更点が二つ。
悠太と沙季の視点が交互にあって沙季の視点が半分を占めている点。それと一つの章が○月○日(○曜日)から大学1年○月と、月だけの大きな括りになっている点。二人共大学生になって、また沙季はインターンで仕事が始まり、一日が忙しなく過ぎていく中で、気持ちの移り変わりを描写するのに一日だけを切り取るのは無理が出てきたのだろうか。
変化と言えば、沙季視点では内容というか印象もこれまでと大きく違う。
描かれるのはインターンで入ったデザイン会社での出来事ばかりで、大学生編というより新人社会人編。沙季の無暗に慌てない性格も相まって急に大人になってしまったように感じる。でも、その割にパパ活を知らない世間知らずな一面も。この子、社会に出して大丈夫なんだろうか? 悪い大人に騙されそうで怖いんだが。
大人になった、そう感じたのは悠太も同じのようで、沙季の変化に焦りを覚えた悠太は、教習所に通ったり丸に誘われた草野球にトライしたりと、視野を広げる為に色々と新しいことに挑戦し始める。こちらは学生らしくて安心する。そうだよ、大学生はこうでないと。
それにしても二人とも、学業のことは全く気にしないのね(講義やレポートの描写ゼロ)。真面目な二人だから大丈夫だとは思うけど、大学生の本分は学業ですよw
生活の変化と色々なことに挑戦している最中ということで、二人でいる時間は減ったけれど、変にすれ違うことなく、会えない時間を補う努力をそれぞれにしているのが尊かった。
次回夏休み編。二人でいる時間が長くなるだろうから、ちゃんと恋人の二人の時間が味わえるといいな。