いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「転生王女と天才令嬢の魔法革命12」鴉ぴえろ(富士見ファンタジア文庫)

転生王女と天才令嬢の魔法革命12 (ファンタジア文庫)

ドラゴン。それはかつてアニスが王国で戦い、そして言葉を交わした因縁深い存在。それが突如帝国にも現れた!?
『――ドラゴンは我のみにあらず、ということだ』
アニスを稀人と呼ぶドラゴンが夢の中で告げてきた声。
それに導かれるように、アニスとユフィはクリスと共にドラゴンが現れたスノフェリア領へと降り立つ。
「さっむっ……!」「これは、こたえますね」
そこは冷たい雪と風が吹きつける過酷な大地。そこで二人は“冬”の名を冠する白いドラゴンと向き合うことになる――
大人気王宮百合ファンタジー、帝国での旅もクライマックス!


帝国外遊終盤に帝国北部で発生した大雪崩とスタンピード、そしてドラゴンと思われる目撃情報。対応を余儀なくされたアニスとユフィが厳冬の大地の問題に挑む。
ドラゴンとは何なのか。アニスが取り込んだドラゴンの本質とは。世界の秘密も少し明らかになる本編クライマックス!
第二のドラゴン“冬”。久々の強大な相手の登場で、後半は「これぞ転天!」なシーンが盛りだくさん。
自分の理想を相手にぶつけ合う、暴力よりも言葉で殴り合うバトルシーン。やっぱりこのシリーズは強大な敵が立ちはだかってこそ映える。
それでもドラゴンに殺意がなく、アニスも同等の強者になっている所為で、2巻(VS弟)や3巻(VSユフィ)、6巻(VSライラナ)辺りに比べると緊迫感はやや欠ける。その足りない分を熱量で補ったのがクリス。人の身で絶対強者に堂々と啖呵を切る胆力と、悠久の生を持ち退屈しているドラゴンの心を動かす情熱。これは主人公ですわ。
永い時を生きることになったアニスとユフィはこうやって若者たちの成長を見守り見送っていくことになるかなと、嬉しくも切ない不思議な気持ちになった。
それと今回もう一つ重要な話題が、アニスが取り込んだドラゴン“空”の存在。
まさかこんなに相性のいい相手だったとは。中途半端に前世の記憶なんて持っていたものだから、アイデンティティに悩み続けてきたアニスと苦しみを共有できる、一つになるべくしてなったような鏡の様な存在。ある意味ユフィより相性がいいかも。
そう考えると最後くっついて離れなくなったユフィのあれは、アニスの心配じゃなくてヤキモチだった? 原因が何であれ、ここ最近では珍しい攻守が逆転したアニス×ユフィが読めたので大満足ですがね。ごちそうさまでした。
次巻(来月刊行予定)、1冊丸まるエピローグでフィナーレ。終わってしまうのは寂しいけれど、幸せな後日談が読めると信じている。