いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ソードアート・オンライン21 ユナイタル・リング I」川原礫(電撃文庫)

キリトとアスナが《アンダーワールド》から帰還して1カ月。二人の傍らには、現実世界で実体を得たアリスの姿があった。しかしその平穏は突如破られる。
「…………レベル1…………」
「わたしもレベル1になってる!」
3人が突如巻き込まれた謎のゲーム、《ユナイタル・リング》。それは《ザ・シード》プログラムで構築された全てのVRMMOが融合した《サバイバルMMO》だった。キリトは開幕早々、愛用の装備をすべて失い、パンツ一枚を残すだけとなってしまう。絶体絶命の過酷な状況下、謎に包まれた《VRMMOSVG》に、キリトが挑む――!


アリスさん、猫耳はあざといですよ!な新章s―じゃなかった、
キリトたちがサバイバルアドベンチャーゲーム始めました。な新章スタート。
サンドボックスじゃないマイクラというか、無人島じゃない無人島脱出ゲームというか。KADOKAWA的に言うと『OSO』か。
娘ユイと離れ離れになったり、ログハウスが倒壊寸前になったりとシリアスもありつつ、状況説明多めの導入部なので全体的には軽め。
さて、肝心のゲームの方は……これは面白そう!
試行錯誤して生産系のスキルを伸ばしたり、作るものを増やしていったりする作業が好きなので、キリトのゲーム脳な考察を含めて楽しく読めた。
ただ、残念ながらこれは導入部の今回だけだろう。キリトは戦ってなんぼだもの。ALOで一番伸ばしたスキルだけが残る条件で、鍛冶スキルが残ったリズが無双する条件が揃ってたのになあ。
リズと言えばMORE DEBANコンビの活躍も良かった。出番があってという意味でも、シリカとリズの気の置けない掛け合いを読めたという意味でも。本人たちはユイの騎士役ではなくキリトに守ってもらう役で出たいんだろうけど。
一先ず戦う準備が整ったところで、AW繋がりらしい新キャラとプログレッシブから出張してきたオネーサンの登場。次回、話がどう転がるか楽しみ。


ところで、
知らない事件の顛末がちょくちょく挟まってくるんだけど、これ映画のやつ? 原作に入れるなら書籍化してくれないかな。

「スープ屋しずくの謎解き朝ごはん まだ見ぬ場所のブイヤベース」友井羊(宝島社文庫)

早朝にひっそり営業するスープ屋「しずく」。シェフ・麻野がこしらえるスープにかかれば、お客の心と不思議な謎があっという間にとかされる。女の子の母親に幽霊が乗り移った? ジビエにまつわる記憶が抜け落ちたのはなぜ? 亡き大叔父が家に隠したお宝はどこ? そして変化を迫られる理恵の進路は? 絶品スープに浮かび上がる滋味豊かな人間模様。お腹と心を温めて、元気を注いでくれる全5皿。

全5皿× 全5話全13皿(+2皿)〇


店主の麻野がその洞察力で身近な問題を解決するスープ屋「しずく」の日常ミステリも、早いものでもう第4弾。
これまでも娘の露が持ち込む問題があったので、子供の問題が出てこなかったわけではないが、どちらかというと「大人の話」なイメージがあった。それが今回は、親の不調に感化される子供、蓋の閉じられた虐待の記憶、そしてストレートに小学生のイジメの問題。
このシリーズは元々、人の心の傷に触れる話題であることが多く、身につまされることの多いシリーズであるが、そこに「子供」というキーワードが加わると、ここまで苦みが増すのかと。常に穏やかな麻野が珍しく感情的になっている様子に余計にそう感じる。
それでも最後まで読めば、その苦みを包み込み、心と(飲んでいないのに)体まで温めてくれるスープが待っている。この読み終わった時にホッとする、独特な安堵感がたまらなく好き。
また、相変わらずスープは種類が豊富でどれもこれもが美味しそうだから困る。当然のように腹が減る上に、深夜でもスープくらいかなラいいかな?という誘惑付きなのが恐ろしい。
さて、最大の注目事項である麻野と理恵の仲は、
理由さえ見つかればデートのお誘いがすんなりできてるのは進歩、なのかな?一応。でも心が近づいているのは間違いないだけに、やっぱりもどかしい。ラストは理恵のあまりの鈍さに少々呆れてしまったし。でも、これが二人のペースなのだろう。
そんな二人の一つの区切りが読めるまで長く続いてくれると嬉しい、いつまででも読んでいられる物語。

12/10の雑談

今日の更新、予約投稿でした。なるほど便利ですねえ。
12、13と出掛けるので、その予行練習に。
ただ、12日の日が変わってすぐと13日の帰ってきてから投稿すれば、何ら問題はないという噂もw



お買い物

「編集者ぶたぶた」矢崎存美光文社文庫
「アンドロイドの恋なんて、おとぎ話みていってあなたは笑う?」青谷真未(ポプラ文庫ピュアフル)
「昭和少女探偵團」彩藤アザミ(新潮文庫nex


ぶたぶたさんだけのつもりが、色々と手に取ってしまったぜ。

「異世界居酒屋「のぶ」 五杯目」蝉川夏哉(宝島社文庫)

古都の季節は、夏から秋へと移ろいつつあった。居酒屋「のぶ」はいつものように営業を続けており、日々の仕事に疲れた人々は、美味い酒と料理で元気を取り戻している。そんな「のぶ」へやってきた一人の男。彼は大事な晩餐会を前にしてスランプに陥っている〈四翼の獅子〉亭の副料理長だった……。仕事が人と人を結び、疲れた身体を一杯の酒が癒やしていく。読めばお腹が空いてくる異世界グルメファンタジー、第5弾。

文庫化早すぎないか?


ニコラウスがいつの間にか転職してる!?
他にも旅人が古都に腰を落ち着けていたり、ベルトホルトさん家の双子が初お目見えしたりと、常連客達の変化に時の流れを感じる第5巻。
大きなトピックスとしては、低迷していた〈四翼の獅子〉亭の復活。
日本でいうところの老舗の料亭なので、居酒屋である「のぶ」のライバル店というわけではないが、味自慢の店の復活に男たちに変化が訪れる。弟子との接し方や教え方に悩むタイショーや急成長中のハンスの想い。男たちの、というよりは仕事人の仕事に対する姿勢や心意気を感じるエピソードが、ふんだんに盛り込まれていたのが印象的な巻だった。
それに対して、その変化を見守り受け止める側にだったしのぶ。お茶目で今風な考え方なイメージだったけど、意外と古風な女性像な立ち位置だったのかな。……それはいいけどしのぶちゃん、君ベーコン食いすぎぃ!w
なんてちょっと堅苦しい感想になってしまったけれど、旨そうな肴と酒と人情噺を楽しむ、一話読み切りで気軽に楽しめる作品なのはいつもと変わらず。
食欲は刺激されるし飲む酒も旨くなりそうなので、飲む前に読むのがベターだが、そういう時間にはなかなか暇がないのが辛いところ。