いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



お届き物

サクラダリセット6 BOY,GIRL and ――」河野裕角川スニーカー文庫
「それがるうるの支配魔術 Game3:ファミリアル・リドル」土屋つかさ角川スニーカー文庫
「パラダイスレジデンス1」野梨原花南 原作:藤島康介講談社ラノベ文庫
「魔法使いなら味噌を喰え!」澄守彩(講談社ラノベ文庫

「昨日は彼女も恋してた」入間人間(メディアワークス文庫)

昨日は彼女も恋してた (メディアワークス文庫)
昨日は彼女も恋してた (メディアワークス文庫)

小さな離島に住む僕。車いすに乗る少女・マチ。
僕とマチは不仲だ。いつからかそうなってしまった。そんな二人が、島に住む変わったおっさん(自称天才科学者)の発明したタイムマシン(死語)によって、時空を超えた。
はじめは二人はどこにいるのかわからなかった。なぜなら、島の景観なんて、十年やそこらじゃあまり変わらないから。
僕たちが『過去』に来たと分かったのは、自分の足で全力で向こうから走ってくる、『小さいマチ』を見たからだ。
僕は驚き、そして思いつく。やり直すことができると。ずっと後悔していたことを、この、過去という『現在』で。


相変わらずMW文庫の入間作品はクセがなくて読みやすくていい。
しかもタイムトラベルもので恋の話だなんて好物+好物なんてものを出されたらワクワクせざるを得ない。


本作は恋は恋でも始まりではなくやり直しの物語。僕ことニアと車いすの女性・マチの二人の視点から語られる。
過去のある出来事によって疎遠になったというニアの説明があるのだが(主にマチがニアを嫌っている)、おバカな言葉も辛辣な言葉も自然体で言い合える気取ってない二人の関係が、若さと距離の近さを感じられて「なんだ仲いいんじゃない」とからかいたくなるレベル。羨ましいことこの上ない。
その上、子供の自分や子供のニアに感化され態度がするすると軟化していくマチの様子に、ニヤニヤ出来たり心が温かうなったり。いやーツンデレすなー。
そんなこんなでタイムトラベルを題材にした作品なのに、そのことをほとんど感じずに普通の青春小説として楽しんでいたら、最後の最後にどんでん返しが。
タイムパラドックスは登場人物たちの口で語られても、実際には何も起こらなかったのにここで来るのか。特に後半はニアとマチの関係改善が順調で、そっちに気を取られてホクホクしながら読んでいたものだから、完全に油断してた。
あざとい引きにまんまと引っかかって悔しい反面、当然のように続きがすっごい気になる。来月までお預けか。。。