「ユーフォリ・テクニカ」定金伸治(C・NOVELS Fantasia)
真空からエネルギーを取り出し、水の裡に封じる。産業革命を推し進め、新世紀に繋がる最先端の技術、「水気」――十九世紀末叡理(エーレ)国、ネルは東洋人として初めて王立技術院応用水気技術学科に赴任してきた。だが、研究員の募集に応募してきたのは、情熱はあるが常識は蹴倒す破天荒な少女エルフェールのみ。しかも彼女は王女だというのだ――!?
定金伸治の暴走科学ファンタジー!!
19世紀の欧州ぽい世界が舞台の工学系の研究室の話。
この話は何と言ってもエルフェール。
喜怒哀楽が激しく猪突猛進、オンとオフしかないような王女様。王女っぽいところは当然皆無で一言で言うと変、二言で言うと大分変w 男尊女卑が色濃く残る世界で負けん気と科学に対する情熱で困難に真正面からぶつかっていく彼女の姿が非常に魅力的。ただ、読んでる分には楽しいけど、身近にいたら相当大変そうだな(^^;
それと舞台設定がツボだった。数式や理論とかいわれるとワクワクせずにはいられない変人の私としてはフィクションとはいえそういう話が出てくるのは大歓迎だし、しかも工学系の研究室の話とあって、同じ工学部にいた人間としては共感できる部分が多かった。(といっても自分の場合は大して忙しい研究室ではなかったので、忙しそうな友達の姿を見てただけだけど)
後半が少し駆け足になってしまっているのがもったいないけど、それを差し引いても十分に楽しめる1冊だった。