いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



終わる世界、終わらない夏休み ~桜井深優の終末~ (ファミ通文庫)

終わる世界、終わらない夏休みあきさかあさひファミ通文庫
オンライン書店ビーケーワン:終わる世界、終わらない夏休み

「今は四日目、私は三冊のメモ帳と一冊のノートを持ってセントラルタワーの屋上にいます」何人もの和也、亜美と別れ40回の終わらない「終末」を繰り返した深優。永遠に続く円環の中で、無力感と共に和也に対する恋心を抱き始めた彼女だが、母親の言葉に、41周目のループで出会った和也、亜美と共に、もう一度希望を取り戻すべく奔走する。世界を救えば消滅する「永遠の夏休み」の中、三人の想いは叶えられるのか!?


下巻にしてこの物語の読み方が分かった。微妙な三角関係の中、健気に頑張る3人の少年少女を見るものであって、時間ループものとして考えてはダメなんだ。
ほとんど廃墟と化した街で四日間を繰り返すという一種の閉鎖空間の中での三人の心理描写を、言動の他に日記という“書いたもの”を効果的に使い丁寧に表現してるのがいい。特に下巻の主役・深優の揺れる恋心の描写が良かった。
ただ、時間ループものとしてはクリアー条件が厳しすぎた(というか対象が多すぎた)のと、最後だけ急にファンタジー色が強まるのが納得できない。もうちょっと尤もらしい説明を付けてくれないとご都合主義にしか見えない。
設定が違えばもっと楽しめたと思うのだが・・・もったいない。