時は大正十四年、七月――洋食屋〈すず川〉の一人娘、小梅は東邦星華高等女学院に通う十四歳。良家の子女が通う学院で、仲良しの“お嬢”こと晶子が突然、「一緒に野球をしていただきたいの!」と。なんとなく頷いてしまった小梅だが、九人集まるのか、道具は何をどう使うのか、ルールはどんなものなのか、分からないことだらけで……。
野球で女子は男子に勝てるのか?
男尊女卑の世間に一泡吹かせたい、大正時代の乙女たちの奮闘物語!
これは面白い! 読んでる最中これだけワクワクしたのは久しぶり。
まず目を引くのが主人公小梅の天真爛漫さ。彼女の愛すべきキャラクター(実際にみんなに好かれている、というか気に入られている)のおかげで作品の雰囲気が凄く良い。そして小梅を中心とした女学生たちの交流や、小梅の恋模様など人間ドラマが非常に面白い。
物語の背景の作り方も上手い。親の承認(これはお嬢だけだが)道具の調達、練習の方法、男子に勝つための作戦まで事細かに考えられていて、大正時代の良家のお嬢さんが野球をする事の大変さも伝わってくるし、それぞれのやり方に無理がないのが素晴らしい。
一つ不満があるのは「大正野球娘。」なのに野球をはしょり過ぎ。3イニングだけの練習試合だったけど、展開がほとんど分からないのが残念。それまでが部分部分専門的だったので試合も期待してたのだが・・・でもまあそれは9イニングやるであろう次巻に期待ということで。
次は9月20日発売予定。楽しみ楽しみ。
ネタバレなつぶやき
どうやって抑えるのかと思ったらノーシームか! 日本じゃ全く聞いたことがなく、ツーシーム全盛の大リーグでも極稀にしか聞かないボールだな。でも、ノーシームで外角低めにちゃんとコントロールするのは至難の業だと思われ・・・