いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



踊る世界、イヴの調律―黄昏色の詠使い〈4〉 (富士見ファンタジア文庫)

「踊る世界、イヴの調律 黄昏色の詠使い4」細音啓富士見ファンタジア文庫
踊る世界、イヴの調律 (富士見ファンタジア文庫 174-4 黄昏色の詠使い 4)

「あなたを待っていた」
クルーエルの面影を宿した緋色の少女は、寂しげな瞳でカインツに告げた。
「あなたは、予定運命から外れた存在。――その始まりは、いつだったと思う?」
静かに、世界は変わりつつあった。
灰色詠唱の真精の襲撃後、体調を崩しがちになるクルーエル。彼女のそばに、何かの気配を感じるネイト。そして、名詠式に用いるセラフェノ音語に隠された秘密に気づくミラーたち……。
緋色の少女は語り続ける。
「わたしは、彼女が殻から抜け出すことを望み、見守るだけ。――そう、わたしの愛しいクルーエルを」
世界が変わる時、ネイトとクルーエルも“変化”を求められる――。


本書を服用なさいますと室内の酸素使用量が極端に減少する場合がございます。十分にご注意ください(ぇ?


クルーエルの再びの昏睡に始まり、空白詠唱のシャオの登場、灰色詠唱の襲撃と怒涛の展開に息をつかせてもらえず、アマリリスやシャオの語る真実が小さな疑問を解決しつつ大きな疑問を生んでいく、まさに謎が謎を呼ぶ展開に目が離せない。最初から最後まで物語に引き込まれっぱなしで、固唾を飲んで見守ってしまい呼吸数が減少する事請け合い。
そして、その中で力がないながらもクルーエルを守ろうとするネイトの強い気持ちと必死さに胸を打たれた。また、彼以外の人たちの言動からもクルーエルやネイトを思いやるやさしい気持ちが伝わってくる。「守りたい」という強い想いがひしひしと伝わってくる、やさしすぎて涙が出てきそうな物語だった。
二人を待ち構えているものは相当険しいものになりそうだけど、こんな姿を見せられたら必死に応援したくなっちゃうな。5巻が出る2月が今から待ち遠しい。