いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



全ての歌を夢見る子供たち―黄昏色の詠使い〈5〉 (富士見ファンタジア文庫)

「全ての歌を夢見る子供たち 黄昏色の詠使いV」細音啓富士見ファンタジア文庫
全ての歌を夢見る子供たち (富士見ファンタジア文庫 174-5 黄昏色の詠使い 5)

もう一度キミの隣に行きたい、この気持ちは本当。だから――迷わない。
黎色の、限りなく孤独な世界に意識を捕われたまま、クルーエルは言い放つ。
「わたしは、ネイトを信じてる」
しかし、彼女を捕える空白名詠の真精・アマリリスは、執拗に言葉を重ねる。
『あの子は、あなたに相応しくない。それに――何をもって、彼の“信じる”という約束を信じるの?』
一方、トレミア・アカデミーでは教師たちが、意識不明のクルーエルを治療するためケルベルク研究所へ移送する決定を下す。その時、ネイトは……!?
ただ一緒にいたかった――二人の願いが重なる時、世界に二色の詠が響きわたる。詠う召喚ファンタジー、第5弾!


作者曰く「Episode I」の完結にあたる5巻。その名に相応しい熱く激しく、そして何よりどこまでもやさしい物語だった。
移動や戦闘で慌しかった今回。でも登場人物たちのやさしさはいつも通り。形は様々だけど誰かのために何かをしようとする彼らの行動からやさしさが滲み出ている感じ。中でも印象的なのがシャオの口と間奏で語られる灰色名詠のミシュダンの過去。この作品では珍しい悪役らしい悪役だと思っていたミシュダンにこんな過去があるとは。この作品には完全な悪は出てこないのかも(必要ないかな)。
そして忘れちゃいけないのが主役の二人。慌しい中でも丁寧に紡がれるネイトの成長とクルーエルの内なる戦いに目が離せない。そして迎える感動的なシーン。ネイトが勇気を出して“声”を届け、クルーエルの答えを出したあのシーンは黄昏色の詠使い史上最高のシーン。思わず涙が。その後の二人の詠も感動的だった。


今回はいつも通りの涙が出そうなくらいのやさしさに加えて、思わず顔がほころんでしまう温かさも貰えた(最後のおまけにニヤニヤもw)、大満足。


少年少女の成長とともに多くの謎を残していった「Episode I」完結の5巻。今から「Episode II」が楽しみでしょうがない。でもあとがきによると次(4月予定)は短編集の模様。シリアス展開続きだったここ数巻と違ってちょっと気を抜いて読めそう。こちらも楽しみ。



〜つぶやき〜
ちょっこら! トカゲ空気読め!! ・・・というかなんで残ってるの?
エイダはいっつも貧乏くじ引かされてる気が(´・ω・`)カワイソス


〜小言〜
カラーページの脱字はカコワルイヨ(´・ω・`)