いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



月明のクロースター―虚飾の福音 (一迅社文庫 は 1-1)

「月明のクロースター 〜虚飾の福音〜」萩原麻里一迅社文庫
月明のクロースター―虚飾の福音 (一迅社文庫 は 1-1)

K県の郊外にあり、厳格な校風で知られる全寮制の進学校「聖ルチアナ学園」。
一緒に通っていた幼馴染の少女「莉子」が突如として学園から脱走を計り、今もなおその理由について口を閉ざしていることを知った久登は、彼女が隠している異変の正体を探ろうとするうち、旧校舎にて深夜に行われている不気味な儀式と事件の存在を知る。
仮面を被った少年・少女たちの手による、顔の見えない悪意と敵意に満ちた闇の儀式が巻き起こす事件。そして幼馴染の身に起きた事件の真実とは何か。夜の集会の闇に魅入られていく久登の未来は。
萩原真理が贈る青春の光と影のダークサスペンス、ここに開幕!


あらすじにある「ダークサスペンス」という言葉がぴったりの作品。
初めのうちは会話が哲学的だったり、主人公の目的がよく分からなかったりで少しとっつき難いけど、話の全体が見え始めてからが本番。隠された真実の数々と夜の集会のミステリアスな雰囲気に徐々に引き込まれていく。そして後半は愛の話。あまりに直情的で読んでいてゾクゾクするぐらい。
それにしても、ここまで余すところなく謎を明かしてくれているサスペンスものも珍しい。そのおかげか少し陰鬱なテーマの割には読後感は悪くない。
答えには賛否がありそうだし暗めの雰囲気に好き嫌いもありそうだけど、この1冊で綺麗に完結していて読みやすいし、個人的にはかなりオススメ。


〜余談〜
一番の驚きは久登の正体だった。読み返してみても確かに・・・。まぁ内容とはあまり関係ないところなのだけど。