いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート (MF文庫J)

ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート」森田季節MF文庫J
ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート (MF文庫 J も 2-1)

「僕、女の子を殺したんだ」――始まりは、思いがけない人物からのそんな電話。どこか満たされない日々を送る高校生の明海は、孤高の歌姫に魅せられた同級生の少年・神野の信じがたいような昔話をいともあっさりと受け入れてしまう。なぜなら明海も小学生の頃、神野と同じく一人の少女を殺めたことがあるからだった――。よみがえるひと夏の記憶、殺されるためだけに存在する「イケニエビト」の少女、人の記憶を食らう「タマシイビト」からの逃避行。第4回MF文庫Jライトノベル新人賞<優秀賞>受賞作。三人の少年少女によるビター・スウィート・ストーリー。


少年少女+怪談(もしくは都市伝説)+音楽の不思議付き青春小説。
・・・どう形容したらいいもんだろうか。
似たような作品を探すなら「嘘シリーズ」等のMF文庫J清水マリコ作品か。でも感性や言葉の選び方はだいぶ違う。文学少女風に食べ物で例えると野菜ジュース(色が緑のやつ)。青臭いのになんとなく美味しい。
・・・感想もどう書いたらいいもんか。
独特で掴みどころがない。
舞台は現代ではあるが不思議設定のおかげで現実感があまりないのに、キャラ達は言ってることや考え方はもの凄く青臭くて高校生らしくて妙にリアル。命に対して執着があるのか淡白なのか、「タマシイビト」も執着があるのか淡白なのか・・・。でも最後まで読みきると心地よい読後感が味わえたりする。
アンバランスさや矛盾など普段は粗に見えるようなところがいいものに感じる何とも不思議な作品だった。



MF文庫Jって新人賞はなんでこんなにも尖がってるのかな。「悠久展望台のカイ」や「この広い世界にふたりぼっち」もこれと同じ匂いがする。これで2作目になるといきなり普通のラブコメになったりするのよね。審査員と編集の感性の間に大きな隔たりを感じる。