いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



“本の姫”は謳う〈4〉 (C・NOVELSファンタジア)

「〈本の姫〉は謳う4」多崎礼C★NOVELSファンタジア)
〈本の姫〉は謳う 4 (4) (C・NovelsFantasia た 3-5)

姫とともに文字(スペル)を回収する旅も終わりが近づく。しかし世界の滅亡を望むレッドはバニストンに災厄の種をまき散らした。懐かしい街、恩のある人々の機器に必死に闘うアンガスに彼は言い残す。「オレを殺す覚悟が出来たら第七聖域まで来い」
追い詰められていくアンガスは「希望」を捨ててしまうのか? そして〈俺〉という語り手によって紡がれた物語が交差する時――!多崎礼の手で緻密に織られた世界がここに完結する。


終盤、十二章の中盤からのが展開が凄かった。現在過去共に生きるか死ぬかの極限状態、しかもここまで来ると現在と過去のシンクロ率も高くて物語に引き付けられっぱなし。ずっと手に汗握り呼吸数も少なくなっていて、一息ついた時には大きく息を吐いてた。そしてその後に迎える二つの美しいラストシーン・・・。
なんて綺麗なラストなんだろう。
過去から現在へ、現在から過去へ、その見事な繋がりが美しくてそれだけで感動できる。もちろんそれだけではなく、アンガス(現在)の物語も、アゼザル(過去)の物語も文句のつけようがないハッピーエンドで素晴らしい読後感。
意外だったのは、これまでアゼザルよりアンガスのほうにより感情移入して読んできたつもりだったのに、最後は現在よりも過去の方が感動できたこと。最も印象的だったのはエピローグの残りのスペルの回収シーン。姫の強い想いが感じられてアンガスは笑ってたけど私は泣いた。
ただ、そこに行くまで道程は2巻に負けず劣らずの駆け足展開だったけど。
まあ終わりよければ全てよしってことで。