いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



カラクリ荘の異人たち 3 ~帰り花と忘れ音の時~ (GA文庫)

「カラクリ荘の異人たち3 〜帰り花と忘れ音の時〜」霜島ケイGA文庫
カラクリ荘の異人たち 3 ~帰り花と忘れ音の時~ (GA文庫 し 3-3)

捜し物を見つけて欲しいと頼みにくるものや、身体が溶けてしまった雪女。あい変わらず、色々なことが巻き起こるカラクリ荘だったが、太一には別に悩みがあった。
それは、正月休みに自宅へ帰るべきかどうか――である。
自宅には、義母・鈴子がいて、会えばまたギクシャクすると思うと、どうも乗り気になれない。
ラクリ荘の面々がそのまま過ごすと知った太一は、それならば自分も――と考えた。しかし意外にもレンからの反発にあってしまうのだった。珍しく大きく動揺し、怒りをレンにぶつけた太一だったが……。
ご町内妖怪奇譚第3巻登場!


おおー、太一の感情が動く動く。
太一の心の傷を固く覆い隠していた瘡蓋が少しずつ剥がれかかってきている、という印象の3巻。
実家の義母から送られてきたクッキーから始まる太一の心を巡るエピソード。ようやく自分のおかしさを自覚し始めて苦しむ様子や、誰もが分かっていることを分かることの出来ない太一の様子がもどかしくてしょうがないのに、そこに太一の確かな成長と住人達の本物の優しさを感じるという、なんとも不思議な感覚。
太一以外では女性陣が元気なのが印象的。
恋する乙女の采奈さんはいつも通り空回り全開。ぐwwwんwwwてwww その発想はなかったw
それから溶解ドジっ子ツンデレ雪少女(妖怪×溶解○、雪女×雪少女○)の六花さん。その属性だけでお腹一杯なのだがw太一との会話がまたいい。基本噛みあってないけど彼女の何気ない一言が太一の何かを変えていく、そんなやり取りが心地よい。
そして義母の鈴子さん。太一の印象でしか語られてこなかったので、頑張りすぎちゃってて痛々しい継母かと思いきや・・・。意味は違えど周りが見えていないという点では太一と似たもの同士だった? 父の苦労がしのばれます。
のどかで静かな雰囲気を感じつつ、女性陣に元気をもらい、太一の成長に心温かくなる3巻。今回も良かった。このシリーズ大好き。
でも次で最終巻のようで。少し淋しいけれど次でちゃんと“人”らしくなるであろう太一に期待。&頑張れ采奈!