いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



恋文の技術

「恋文の技術」森見登美彦ポプラ社
恋文の技術

一筆啓上。
文通万歳!


男なら、いや女でも、
書きたまえ、送りたまえ。


ほろにが可笑しい
新・書簡体小説、誕生!


京都の大学から、遠く離れた実験所に飛ばされた大学院生が一人。
無聊を慰めるべく、文通武者修行と称して京都に住むかつての仲間たちに手紙を書きまくる。
手紙のうえで、友人の恋の相談に乗り、妹に説教を垂れ――

主人公である守田一郎が親友 小松崎、研究室の女王 大塚女史、元家庭教師の教え子 間宮君、作家 森見登美彦氏、妹に当てた手紙。


ま、とりあえず
おっぱい万歳!←読んだら叫ばずに入られなくなるフレーズw


手紙の書き手である守田一郎氏の身を削るギャグの数々があまりに痛々しくて、腹は痛いわ涙は出るわ。
また、手紙だけで内容を理解させる手法が見事。森見さんの作品であるし主人公の手紙しか出てこないので、初めのうちはどこまでが本当でどこまで妄想なのか分からない。しかし、何人かへ手紙を順に読んでいくと次第に事の真相が分かるようになっていて、その綺麗な仕掛けには惚れ惚れ。
内容的には第七話までは痛々しい笑いが中心で第八話から少し雰囲気が変わる。
第八話の妹へ当てた手紙では、見栄を張ったバレバレの嘘ばかりの文章に苦笑しつつも、兄らしい思いやりと小さなヤキモチが垣間見えてなんだかほんわかする。
第九話の失敗恋文集は傑作。あまりに痛々しく痒くなったり思わず叫びたくなるような酷い文章と素に戻っての的確なツッコミははまさに抱腹絶倒。腹筋返せ!w
そして阿呆さと文通能力の向上が見て取れる第十、十一話を経ての最後の想い人へ当てた手紙。
なるほど、これはいい手紙だ。普通っぽさと適度な柔らかさがいい。
でも、そこまで読んできた読者からだととてもいい手紙に見えるけど、いきなりこれを貰ったらどうなんだろう。あー・・・彼女には恐らく大塚女史から全て伝わってるからいいのか。
この後、守田氏の恋はどうなるのか。激しく上手くいって欲しくないのだが、上手くいってしまった気がするのは何故だろう。ちくしょうw