いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



戦う司書と絶望の魔王 (戦う司書シリーズ) (スーパーダッシュ文庫)

戦う司書と絶望の魔王」山形石雄スーパーダッシュ文庫
戦う司書と絶望の魔王 (集英社スーパーダッシュ文庫 や 1−9)

ついに動き出した「天国」。それは『本食い』の能力の究極の進化形であり、もう一つの世界を体内に持つルルタの「仮装臓腑」のことだった。バントーラ図書館武装司書たちは完全無力化し、世界の終焉に向かうカウントダウンがはじまった! そして、かつては世界の救世主だったルルタが果てしない絶望に至った過去と、その鍵を握るひとりの女性の存在が明らかになる! 武装司書たちに、ルルタを止める術は残っているのか? 希望も絶望もつないでいく、『本』をめぐるファンタジー、新人賞大賞受賞シリーズ第9作!

ルルタは何故世界を滅ぼすのか、ルルタは何に絶望しているのか、彼の心中や人物像がわかる過去の物語。他人の視点からルルタの絶対性を、本人と彼が愛したニーニウの視点から“人”としてのルルタが描かれる。


そうだった。重厚な世界観や現在の絶望的状況に飲み込まれがちだけど、これは初めから“恋”の物語だったんだ。1巻のタイトルは恋する爆弾だったし。
そんな物語の9作目は、絶対的な力を持った一人の少年のどうしようもなく悲しい恋の物語。
もうこんなの泣くしかないじゃないか。
この二人の恋は誰がどう考えても悲恋だってわかるから、悲しいラストに向けて身構えていたにもかかわらず、それを超える壮絶な運命にただただ涙。この怒りにも似た遣る瀬無さはどうすればいいんだ?
この物語も次で最後か。ハミュッツが何か仕掛けているようだけど、ここは最後に出てきた彼の出す答えに期待したい。倒すべき魔王でもこんなものを見せられたら救いがないとやりきれない。
どんな最後を迎えるのか最終巻が楽しみでしょうがない。