いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



君が僕を~どうして空は青いの?~ (ガガガ文庫)

「君が僕を どうして空は青いの?」中里十ガガガ文庫
君が僕を~どうして空は青いの?~ (ガガガ文庫)

昔はどこの商店街にもいたらしい商売繁盛の神様“恵まれさん”が、私の街のショッピングセンターに、復活。たいていはおばあさんだったのだけれど、今度の“恵まれさん”はなんと中学三年生。しかも、“執事”をともなって私のクラスに転入してきた! お金に一切触れてはいけない決まりだという“恵まれさん”。日々の生活をサポートするのが“執事”だなんて言っている。お金に触れないなんて、そんなのムリ! 本当はどうなの? なぜ、そんな野生動物みたいな微笑みなの? 気になる…気になる……好きになる?

主人公の少女が“恵まれさん”の少女に「恐いもの見たさ」ではまっていく物語。


主人公の娘の質問「どうして空は青いの?」から始まる「物事、質問を如何にしてはぐらかすか」で一冊書ききってしまったような小説。
何に対してもをわざと難しく説明してはぐらかすその手法に、妙に感心してしまった。
ただ面白かったかと聞かれれば答えはNO。
内容は基本的に主人公の15歳の時の話で、夢の中にいるような足元が覚束ない独特の雰囲気はデビュー作「どろぼうの名人」と似ているのだが、「どろぼうの名人」と違ってどうにも気持ち悪い。
前作と違い主人公の感情(怖がる点、恥ずかしいと思うライン、沸点など)がまるで理解できなかったのと、女の子しかでてこなくても、やるとこやっても全く百合臭がしなかったのが楽しめなかった原因か。
エピローグの最後、母の答えに対し「ちぇっ」と言った娘の一言が読後感を端的に表しているような気がする。
これならまだデビュー作の方が楽しめた。