ベン・トー 5 北海道産炭火焼き秋鮭弁当285円 (スーパーダッシュ文庫)
半額弁当争奪バトルに青春を賭ける佐藤洋たちＨＰ同好会は合宿を終え、地元に戻って日常の争奪戦に精進していた。そんなある日、佐藤のかつての憧れのクラスメイト、現在芸能アイドルとして活躍する広部さんが転校生として現れる。傍若無人の振る舞いをする彼女に、案の定巻き込まれる佐藤は、徐々に弁当争奪戦から遠ざかってしまう。さらに、しばしの沈黙を破り、再び立ちはだかる猟犬群たちの乱入で戦闘は激化していき…！ 佐藤は「狼」としての誇りを失ってしまうのか!? それとも秋鮭のごとくスーパーに戻ることはできるのか――!? 庶民派シリアスギャグアクション、原点回帰の第５弾！
変態の巣窟たるベン・トーに新たな変態が生まれた。その名は大谷昌義。
どこにでもいそうなアイドルオタクなのだが、これが著者の懇切丁寧な一人称描写に掛かると、えも言われぬ雰囲気を醸し出す。一言で表すならキモい。丁寧に言うならとても気持ち悪い。
読んでる方はバカらしくて面白いが、牧さん、あんたは本当にそれでいいのか・・・
まあそんな変態はどうでもいいとして、
佐藤洋の初恋の人広部蘭が登場する５巻はほのかにラヴ要素を含みつつも、質も量も増量された半額弁当争奪バトルがとにかく熱い話だった。
やはりベン・トーは萌えじゃなく燃え。あ、でも戦ってない時の先輩はどの場面でもえらくかわいい生き物だったけど。顔を真っ赤にした先輩とか想像するだけでもたまらんね。
それよりもなによりも今回はおかしい。
佐藤洋が異常にカッコいいのである。
確かに毎回最後にはいいところを見せてくれる彼だが、それとは比べ物にならないほどカッコいい。あんな変態がカッコいいなんて何かの間違いに違いないと思いつつも、最後に初恋の子に見せる背中にマジで惚れそうになる。いつもの変なものに感動させられた敗北感すら感じさせない文句の付けようがないカッコよさ。・・・そうかこれが漢か（どこか間違ってる気がするのは気のせいだｗ
他は白粉先生の出番が少なかったのが少し残念だが、バトル同様五割り増しで胃袋を襲う弁当の描写（四川風エビチリ弁当食いてえ！）に、真面目な説明口調でサラッとボケる地の文と珍妙な過去の同級生（「三沢の乱」の詳細を求む）も、もちろん健在。原点回帰の文字に相応しい熱い内容で文句なしに面白かった。そして腹が減った！
次は文化祭編か？
