いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「アイゼンフリューゲル」虚淵玄(ガガガ文庫)

アイゼンフリューゲル (ガガガ文庫)
アイゼンフリューゲル (ガガガ文庫)

高速レシプロ機エトピリカの操縦桿を握りながらカール・シュニッツは目を懲らした。大空の彼方に見えたのは、眩いほどに輝く一対の翼。鱗粉のように撒き散らされる光の礫。それは、未だ人類が到達できない領域の存在――虹龍の雄姿だった。「彼らが舞うあの世界は、痛みも悲しみもない場所に違いない」少年の頃からずっと……そしていまもなおカールはそう信じてやまない――。これはまだ、龍の翼に神秘があった頃の物語。遙かなる神々への領域を目指した、挑戦者たちの記録。ニトロプラスの名作『吸血殲鬼ヴェドゴニア』『沙耶の唄』で知られる伝説のタッグが復活。完全オリジナル新作始動!


空、航空機、ジェットエンジン、スピードの探求、王者への挑戦。男のロマンが詰まった男臭い作品。
何が良いって龍の生態が良い。速さで優劣を決めるのは強さでなく早さ。同族同士で争うことはせずレースで雌雄を決する。そしてそれに挑戦する人間が一人。こんなシチュエーションで燃えないはずがない。
そしてその肝である龍との勝負の描写が素晴らしい。
400ノット(約740km/h)以上のスピード感がありありと感じられ、それを邪魔しない程度に程よく入る専門用語が男心をくすぐる。
熱かった。面白かった。
戦争になるであろう流れだが、戦時下で龍との勝負はどうなってしまうのだろうか?