いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「くくるくる」一肇(ガガガ文庫)

くくるくる (ガガガ文庫)
くくるくる (ガガガ文庫)

高校入学式の翌日、語木璃一は公園で一人の女の子に出会う。その少女は桜の木の枝に荒縄をくくりつけている。うーん、ひょっとしてこれは首吊りってやつですか? 桜の花びらが降り、少女が宙に浮かぶ……と、同時にぶちんと音がして少女はそのまま落下! 「げうー。もう百二十二回め! また首吊りに失敗!」──自殺を試みようとするたびに天変地異が巻き起こり絶対に死ねない少女・なゆた。そんな彼女に一目惚れしてストーキングする少年・璃一。桜の下で巡りあい“括る繰る”でクルクル回る不思議な恋物語のはじまり!


なにこれ面白い。面白いけどなんだこれ。
とある少年が自殺しようとしている少女に一目惚れしてストーカーになる話。・・・で間違ってはいないのだけど、陰湿さゼロ、ネガティブ<<<ポジティブと暗さは皆無。爽やかさすら感じる。さらには殺し屋のおっさんまで交えて楽しく談笑なんて始められてしまっては、状況を楽しんで笑うしかないじゃない。
終盤、話が斜め上にぶっ飛んだりもするけれど、元々ズレてるからさほどの驚きや戸惑いもなく、激しく今更な最後の一言も不思議と胸にストンと落ちてくる。
こういうシュールさとか現実とのズレを楽しむ作品、大好きです。