いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「はるかかなたの年代記 双貌のスヴァローグ」白川敏行(スーパーダッシュ文庫)

はるかかなたの年代記 双貌のスヴァローグ (はるかかなたの年代記シリーズ) (スーパーダッシュ文庫)
はるかかなたの年代記 双貌のスヴァローグ (集英社スーパーダッシュ文庫)

「……僕って、トラブルに引き寄せられる体質だったっけ?」
フラムスティード学院の入学式に向かう途中、女性顔に悩む少年・ユウは不良に絡まれる子供をかばう、菫色の瞳の少女・カティアと出会う。
超常能力<換象>を用いてユウとカティアを傷付けようとする不良から、同じく<換象>で彼らを救ったのは、クリスという名の少年だった。
これをきっかけに友情を育み、共に学園生活を送ることとなった三人。
だが、ユウには誰にも言えない秘密があった。
それは、ある時から彼の身体に<チョールト>と呼ばれる人格が共生していること。
しかし、カティアとクリスにもそれぞれ秘密があって?
はるかかなたの物語が、今この時より紡ぎ始められる…!!


世界観も優しい雰囲気も「黄昏色の詠使い」によく似た印象。イコール好みのタイプの作品。
努力型の主人公も好きだし、ちょっと恥ずかしい台詞を思いっきり言ってくれるのは読んでいて気持ちいい。脇を固めるキャラたちも“いい人”が多くて優しい気持ちになれるのもいい。特に生徒会長のアタフタお姉さんぶりは最高でした。
ただ一つ残念なのは、肝心のメインヒロイン・カティアの影が薄いこと。
学園ものとしては先生や生徒会長の方がユウとの関係が進んでいるし、彼女の正体を話の中心に置いてる割にはその苦しみや立場の難しさなどの描写が少なく、主人公が吼えても感動が薄かった。
クリスや〈チョールト〉の過去に世界の成り立ち等々、匂わせただけのことが多いので、どう物語が広がるか続きも期待が持てる。でもこれ、既にメイン以外二人も落ちてるし確実にハーレムルートだなw