いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「おちゃらけ王」朽葉屋周太郎(メディアワークス文庫)

おちゃらけ王 (メディアワークス文庫)
おちゃらけ王 (メディアワークス文庫)

かつては無類の馬鹿者だったが、いまは怠惰な大学生に成り果てている名雪小次郎。そんな彼の前に、幼少からの腐れ縁「魔王」が現れ、言い放つ。「君に用心棒を頼みたいのだ」。
多くの人間に金を借りている魔王は、借金を取り立てる債鬼から逃げつづけなければならないのだという。
やっかいな頼みを断る小次郎だったが、魔王の策略にはめられ、恐ろしい追っ手たちから無我夢中で逃げ回ることになる。その逃亡劇の果てに二人を待っていたものは――?
馬鹿で奇妙奇天烈で爽快なネオ青春グラフィティ! 電撃小説大賞メディアワークス文庫賞〉受賞作。


もう一冊のメディアワークス文庫賞作品に比べれば全然面白いのだが、ちょっとこれは素直に楽しめない。
スタートは『四畳半神話大系』によく似ていて、役に立たない不思議能力に、『宵山万華鏡』のような祭と正体不明の団体、途中で合流する妹の語り口は『夜は短し〜』の黒髪の乙女風。そして何より、駆けずり回る馬鹿二人が醸しだす雰囲気はまさにそれ。要するに森見登美彦氏を意識して書いているとしか思えない内容。
初めはそんなに気にしなかったのだが、読めば読むほど似ている点が出てくるので段々とモヤモヤした気分に。
真似するなとは言わなし真似できるセンスも凄いとは思うが、ほとんど自分の色/独自性を感じなかったので、不思議能力を初めから安売りし過ぎたせいで、一本調子になって後半失速している点を含めて、非常に言葉は悪いが劣化コピーという印象を受けた。



モリミー作品を知らずにこれを書いたのなら作者に土下座して謝る所存だが・・・まあないな。