いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「神さまのいない日曜日 VI」入江君人(富士見ファンタジア文庫)

神さまのいない日曜日VI (富士見ファンタジア文庫)
神さまのいない日曜日VI (富士見ファンタジア文庫)

封印都市をタイムリープから解き放ち、3年4組を助けることに成功したアイ。しかし、同時にアリスのの願いに反して彼を救ってしまったことで、2人はすれ違ってしまう。
「私だけに見えていた夢が、なくなちゃったんです……」
アリスへの想いと引き替えに失った、墓守としての夢。ひとりぼっちで途方に暮れるアイだが、突如、封印都市に魔女旅団と名乗る異形の集団が現れ――!?
「罪人を裁きに来ました――ここに魔女裁判を開廷する!」
世界を救う罪を裁くという魔女旅団。彼らの狙いはアイなのか? そして、すれ違ったアリスとアイの想いの行方は――?


「アイちゃん元気出してー」と叫びたくなる6巻。
世界を救うという目的を破ってしまい、すっかり塞ぎ込んで抜け殻のようになってしまったアイ。鬱々とした世界観で栄えるアイの陽気が影を潜めたおかげで、まるでお通夜のような状態。アイが精神状態によってここまで作品の雰囲気が変わるのか。主人公・アイの存在感の大きさを再認識した。
そんなアイのためにアイに助けられた周りの人々が頑張る、またアリスに助けられた住人がアリスを助けるために奮闘するのだが、元気だった時には笑えた二人の頑固な性格が今回ばかりは災いし負のスパイラルに陥っていて、焦燥感は増すばかり。
なので、ようやく助けの言葉がアイに、アイの言葉がアリスに届くラストシーンはジーンとくる。周りは自分を大切にすることと、わがままになっていいことを伝えたかっただけなのに、苦労させてくれるよ、この子たちは。
これまでとは雰囲気の違う『神さまのいない日曜日』だった。いつもは「いいこいいこ」していればニコニコしていてくれた子が、今回は大泣きしてしまってどう慰めていいのかわからずアワアワしているような感覚。
次回、アイの復活に期待。無駄にテンションの高いアイちゃんを愛でたい。