いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「なりそこない」高里椎奈(f-Clan文庫)

なりそこない (f‐Clan文庫)
なりそこない (f‐Clan文庫)

休暇を過ごすため借りた山中のコテージには、見知らぬ四人の男と一匹のシェパード犬、そして赤ん坊がいた。しかも犬の飼い主は分からず、赤ん坊の身元も知れない。もしや、この中の誰かが誘拐してきたのでは──!? 疑心暗鬼の中、衝突しつつも赤ん坊の世話をすることで、性格も年代も違う彼らに、奇妙な交流が生まれ始める。やがて、各々が胸に秘めていた思いが零れ出て……。


f-Clan文庫ってちゃんと挿絵あるんだ。竜宮ホテルが特殊だったのか。
まあ、それはいいとして


少女小説を買ったはずなのに、女の子が0歳児しか出てこないってどういうことなの?
いや、そこまではあらすじで分かってたんだけど、ここまで華がないとは思わなかった。
どこかで挫折した25〜45歳までの各年代の男たち5人が一つの別荘に集められた奇妙な空間。そして誘拐?された赤ん坊が1人。誘拐犯はだれ? 名前も明かさない5人の素性は? 夜から次の日のバスの始発までの数時間という短い間で繰り広げられるミステリテイストな人間ドラマ。
そこにあるのは猜疑心、いがみ合い、派閥、赤ん坊の世話で生まれる微かな一体感、挫折した男の哀愁。どこをとってもライトノベルっぽさも少女小説っぽさもないんだが(^^; 挿絵もなくても何の問題もないし。
落としどころも悪くないし面白くないわけでもないが、大人になって身につまされたりしみじみしたりする作品だと思う。