自国の今を知るため、帝都《東京》にやってきた九曜と叶葉。復興の進む街で、九曜は機械兵を連れた不遜な少女に襲われる。『第三皇女・鴇子』だと名乗る少女は、九曜に自らを守るように命令する。
誰から何故追われているのか記憶がないと言う鴇子。そんな彼女を九曜は訝しむが、叶葉は彼女を放っておけないと言う。叶葉の懇願により、九曜は鴇子の情報を求め、軍の地下施設を訪れる。そこで彼を待ち受けていたのは、全滅したはずの《鬼虫》シリーズの一人で──!?
最強の兵器《鬼虫》たちが繰り広げる神速アクション、第18回電撃小説大賞〈大賞〉受賞作、第2弾登場！
１巻が始まりの物語といった体でありつつ、単体で一定のかたはついた話でもあったので、どう続くのかが最初の注目点だったのだけど、新章は東京編といったところか。
新キャラ続々登場＆伏線いっぱいの新章開幕らしい内容だった。
この巻のストーリーの軸だった鴇子や、かつての仲間二人も（いい意味でも悪い意味でも）かなり濃いキャラだったが、お気に入りは捨三と菊丸の二人のおっさんキャラ（菊丸はおっさんじゃないかｗ）。共に寡黙で背中で語るタイプで、それぞれのやり方で男気を見せ付ける姿にほれぼれした。
もう一つの注目はアクションシーン。１巻のような専門用語がかなり少なくなって読みやすくなったのも良かった点だが、それ以上に何度かの戦闘で半身であり最強の戦力だった《蜂》を失った九曜が、自分の戦い方を見つけていく過程が熱い。
欲を言えば、折角二人旅になったのだから叶葉と二人きりのシーンや叶葉と二人での成長がもっと読みたかったところか。
新たな旅の仲間を得て、八洲を見て回りたいという漠然としたものではない「敵」という明確な目的も見えて、先の展開が楽しみ。
