いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「煙突の上にハイヒール」小川一水(光文社文庫)

煙突の上にハイヒール (光文社文庫)
煙突の上にハイヒール (光文社文庫)

恋人にだまされた織香は、大きな衝動買いをした。一人乗りのヘリコプターMewだ。心躍る飛行体験が、彼女の前に新しい世界を拓いてゆく(表題作)。猫の首輪に付けた超軽量カメラ。猫目線の隠し撮り映像には、思いもかけないものが映っていて…(「カムキャット・アドベンチャー」)。人とテクノロジーの関わりを、温くも理知的な眼差しで描く、ちょっぴり未来の五つの物語。

夢のある、もしくはありそうな未来の人々の暮らしをちょっとずつ切り取った5編の短編集。
好みで順位づけすると 2>5>1>3>4




煙突の上にハイヒール
内容:背負って飛べる個人用ヘリコプターMewを買った女性


安! 何故流行らん!?
乗用車程度の値段でこんな気軽に飛べるんだよ。買うだろ……お金があればw
もう一つ思ったのは、タケコプターってどの程度の安全対策がなされているんだろう?ということ。見た目だけなら頭を掻こうとしたら誤って指切断しそうだよね、あれw
話の方は結婚詐欺に合いかけた女性の話。考え方に共感出来なかったのでイマイチだった。



カムキャット・アドベンチャー
内容:超小型車載カメラを猫の首輪に付けて……


これなら今の技術でも出来そう。でも単体で記録までさせるまでは無理なのかな? 猫視点の路地裏散策や猫の地域コミュニティは間違いなくアドベンチャー。その部分がさらっと流されてしまったのがもったいない。
それでも好奇心と倫理観と恋愛の狭間で葛藤する主人公に共感できて、ほのかな甘さもありこの話が一番好き。



イブのオープンカフェ
内容:フラれた女と役目を終えた介護ロボット


ロボットのタスクが優秀すぎてそろぞれの感傷に浸る男と女にし見えん。
……タスク君のAIの優秀さしか印象に残らない話だった。



おれたちのピュグマリオン
内容:ある一念で人に近いロボットを作ってしまった青年


帯に「こんな未来なら、悪くないと思いませんか?」ってあるんだが、、、これは悪いでしょ。人類が滅亡する未来しか見えない。
いや、メイドロボが発展した「芳乃」のヒットまではもっと悪いことに使う人間はいるだろうなあとは思いつつも、夢のある話として楽しんで読んでいたんですがね。
でも、遠隔操作には必要性を感じない。オチも苦笑もの。



白鳥熱の朝に
内容:極悪インフルエンザが大流行した後の日本


ここまでメカがメインの話だったのに、最後にして突然生々しく厳しい話に合ったことにまずビックリ。現代人にとっては歴史上の事実でしかない、ペストの大流行はこんな感じだったんだろうか。
ストーリーは心に大きな傷を負った二人が互いに支え合って立ち直るヒューマンドラマ。家族は血じゃないなと思わせてくれるいい話だった。