いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「悩み相談、ときどき、謎解き? 〜占い師 ミス・アンジェリカのいる街角〜」成田名璃子(メディアワークス文庫)

悩み相談、ときどき、謎解き?―占い師ミス・アンジェリカのいる街角 (メディアワークス文庫)
悩み相談、ときどき、謎解き?―占い師ミス・アンジェリカのいる街角 (メディアワークス文庫)

昼間はOLにして鍵穴からの観察者、ミス・ブースカ。夜は街角の婚活占い師として人気の、ミス・アンジェリカ。女達の悩みのエネルギーを換金するために始めたインチキ占いだったが、いまやこの街角には、様々な悩みを抱える人々が集ってくる。恋愛相談をはじめ、結婚運や仕事運、さらには不倫関係まで悩みは尽きることがない。だがまれに一風変わった悩みを持ち込まれることがある。隣でキャンドルを売る誠司のおせっかいもあり、度々それぞれの事情に巻き込まれてしまい──。


占い師が相談された変わった悩みを自ら出向いたり巻き込まれたりしながら解決していく探偵ものっぽい形式の話ではあるのだが、その占い師がもの凄く変な女性で……。というわけでこれは不思議な主人公を読む話。
田中花子」「ミス・ブースカ」「ミス・アンジェリカ」「きなこさん」。呼び名がこれだけある時点で稀有なキャラだが、中身はもっと複雑怪奇だった。
詐欺師のような金の稼ぎ方をしながら使う先は慈善事業。いわゆる電波と普通の間を行ったり来たり。大人の恋愛相談を受けているのに、自分の恋心に対する反応は中学生レベル。心中では人を見下したようなことばかり言うのに、相談者のその後を気にして神経質になる。
そんな風に上げたらきりがないくらい軸がブレまくっているのに何故だか嫌いになれないし、ずっと見ていても飽きない不思議な魅力がある。どの事件も自ら巻き込まれに行ってるから本質はお人好しで、危なっかしいから目が離せない。そういうことなんだろうなあ。
他愛もなかったり、重かったり色々な事件を追う中で彼女の人間性を楽しみつつ、落としどころはどこだろうとか、本人の恋の行方は?なんて気にしながら読み進めたら……まさかの続きもの!? しかも、主人公がガチ凹みしてるところで終わるという凶悪な引き。
ひどく後味が悪いので早く続きを。