いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「サマー・ランサー」天沢夏月(メディアワークス文庫)

サマー・ランサー (メディアワークス文庫)
サマー・ランサー (メディアワークス文庫)

剣道界で神童と呼ばれながら、師である祖父の死をきっかけに竹刀を握れなくなった天才剣士・天智。彼の運命を変えたのは、一人の少女との出会いだった。高校に入学したある日、天智は体育館の前で不思議な音を耳にする。それは、木製の槍で突き合う競技、槍道の音だった。強引でマイペース、だけど向日葵のように明るい同級生・里佳に巻きこまれ、天智は槍道部に入部することになる。
槍道部では、里佳のほかにも個性豊かな部員達が天智を待っていた。剣を置いた少年は今、夏の風を感じ、槍を手にする。第19回電撃小説大賞〈選考委員奨励賞〉受賞作!


表紙の絵は夏晴れ&青春で爽やかさ100%って感じなのに中身はかなりの曇天。
大筋では青春ものの王道ストーリーになってはいるものの、内容は主人公が半分以上自分の中で答えが出てるだろうと感じるような悩みを、うじうじ悩み続けるのを延々と読まされるという苦痛なもの。お馬鹿だが快活で陽の気を振りまくヒロインのおかげで陰鬱な話に少しだけ光が射しているのが唯一の救い。
それでも、悩みはスッキリ解決。前を向いて槍に青春をかけよう!って展開になればそこを我慢して読む価値があったのだが……
結局ギリギリまで悩み続けた挙句、大会に出れたのは状況に流されただけ。最後も前向きになれたんだかどうだか分からないはっきりしないエピローグ。全く気持ちが晴れない。読後感が大変よろしくない。
槍道って発想はオリジナリティがあったけど、恋愛の気は0なのに謎の結婚式風景があったり、競技の描写が似たり寄ったりだったりと技術的にもどうなの?思うところも多く、他はどこが良くて賞に選ばれたのかよくわからない。