いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「王子降臨」手代木正太郎(ガガガ文庫)

王子降臨 (ガガガ文庫)
王子降臨 (ガガガ文庫)

ときは戦国。空は哭き、地は痩せ、人心は乱れていた。この世は、まさに地獄であった。だから、民らは、まだ知らぬ。流星と共に舞いおりし、美しき「王子」の存在を。母星の姫を捜すため、この星にきた王子のことを! 光の国からやってきた、麗しき王子の輝きを!! そして、王子と少年・鳶丸の出会いが戦乱の世を変えて行く……。究極の美は、人々の心の光となって、この世を愛で埋め尽くす。美しすぎる時代劇、ここに降臨!!
第7回小学館ライトノベル大賞・優秀賞受賞作!!


舞台は悪政と飢饉に喘ぐ日本の戦国時代の一地方。そこで何でも思い通りになる聖人君子と人の不幸が大好きな性悪ドS(どちらも異星人)が合いまみえる。……なんだこれ。
王子の設定や技名など発想は小学生レベルで、人間の醜さやグロ表現は大人の文章(性的表現は安っぽいエロマンガみたいでズッコケる点も含めて)。
黒歴史ノートを見つけた大人がその設定のまま酔った勢いで一冊書ききってしまったような支離滅裂さ、シリアスな時代物の中に何やっても死なないギャグマンガのキャラが紛れ込んでしまったような異物感。その極まったシュールさを笑いに変換することが出来れば楽しく読めるだろう。
自分はその楽しみ方が分かったのが後半になってからだったので、最終決戦くらいしか笑えなかったんだけど(^^;
それにしても、これを優秀賞に選んでしまうガガガ文庫に脱帽。もう流石と言うしかない。他のレーベルなら1次で蹴られること請け合い。