いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「絶名のドラクロア」大間九郎(このライトノベルがすごい!文庫)

絶名のドラクロア (このライトノベルがすごい! 文庫)
絶名のドラクロア (このライトノベルがすごい! 文庫)

平凡な日常、上手くいかない日常に飽きていた向井竜童は、奇妙な美少女ドラクロアと出会い、唐突に非日常にブチ込まれる! ――明かされる世界の真実の姿、迫られる究極の選択――ドラクロアの命か、世界の命運か。全ての事から逃げ続けていた竜童の選択とは? ドラクロアの秘密とは? スピード感溢れる展開、炸裂するジョーク&バトル。『ファンダ・メンダ・マウス』のボーイ・ミーツ・ガール版、疾走するニューヒーロー誕生!


相変わらずのアウトローな世界観と破天荒な文章で。
血みどろの逃亡劇を演じながら、キャラクターたちの台詞は超絶に軽いというシュールで独特な世界が繰り広げられていた。それでいて語られるのは愛。読んでいて恥ずかしくなるほどの真剣な愛。
と、大間九郎独特の作りは変わらず健在だったのだが、、、なにか物足りない。
キャラクターもいつも通りにみんな変態なのだけど、なんだか今作の「変態」は記号的というか上辺だけというか。ドン引きしたり嫌悪感を感じることがかなり少なかった。前作のイソラさんとかもの凄いインパクトだったからなあ、悪い意味でw
また、過去二作と違って主人公が微妙。
これまでは二、三本頭のネジが抜けていそうな言動でもやることの筋が通っていて、自分の正義や信念を感じる主人公だったのに、今作の竜童は軸がブレまくりで最後のいい場面でも全然格好良さを感じなかった。
この作者は、クレイジーなキャラクターで思いっきり落としておいてから、そいつらが真剣に愛を語ってギャップで上げる。その緩急の激しさが最大の魅力だと思っていたのだけど、今作はそれが薄れてしまった気がする。
全然普通じゃないけど、過去二作に比べると普通だった。慣れもあるのかな?