いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「魔女は世界に嫌われる2」小木君人(ガガガ文庫)

魔女は世界に嫌われる 2 (ガガガ文庫)
魔女は世界に嫌われる 2 (ガガガ文庫)

亡くした大切な人を生き返らせるため、旧ガルディア魔導帝国の皇都跡地を目指すネロとアーシェ。“重罪人の息子”と“魔女の娘”として、国から追われる身である二人は、人目を忍ぶ旅を続ける。夜は一枚の毛布にくるまって眠り、共に困難を乗り越えることで、二人の絆は深まっていく。旅の途中、人買いに追われる少女カルロッタや、アーシェを魔女だと知りながら求婚する不思議な青年ハンスと出会う。彼らとの出会いを経て、アーシェはこの世界の残酷な側面を知る。外の世界への憧れが色褪せていくなか、アーシェが見つけた希望とは?


子供二人で初めての旅で共に追われる身。しかもアーシャにとっては初めての外の世界。
危険なものになるのは分かり切っていたけれど……
危なっかしいってレベルじゃないぞ(^^;
ネロは少々の一般常識はあっても旅の常識は当然知らず、アーシャに至っては完全な箱入り娘。これだけの条件だけでも不安いっぱいなのに、そこに襲いかかる悪人の魔の手と世間の悪意が容赦ない。
それはもうハラハラや冷や冷やを通り過ぎて、思わず目を覆いたくなるくらい。まるで、歩きはじめの赤ん坊の前に振れたら危ない障害物があるような恐ろしさ。何度「それはダメ」と口から出そうになったことか。おかげで、信頼できる大人であるモーガンさんが出てきた時の安堵感は忘れられない。
でも、その怖さがあったからこその成長もあった。
底の無い悪意に晒されたからこそ、人の優しさにも触れた。一度離れ離れになったから相手がどれだけ大切かが知れた。二人の焦りや悲しみがどれも自分ではなく相手を思ってのことなのが切ないのに嬉しい。そして、それらを全部飲み込んだアーシャの言葉は胸を打つ。
今回も良かった。但し、途中で止めると精神衛生上大変よろしくないので、一気に読める時に読むことを推奨。
次はもうちょっと落ち着いて読みたいが、、、無理だろうなあ。