トルバラン率いる海賊の残党によるレグニーツァ襲撃を受け、双剣の戦姫サーシャは病身を押して決死の出陣をする。普段は敵対するエリザヴェータとの共同作戦の下、消えゆく命の灯火を燃やしながら壮絶な戦いを繰り広げるサーシャの美しい姿は、見るものにある“伝説上の生物”を連想させた。一方、ティグル行方不明の報を受けて傷心を引きずるエレンは、サーシャの危機に駆けつけようと戦地へと急ぐが――。そして、静かに暗躍するヴァレンティナの企み。海賊の残党が潜んでいた海岸でエリザヴェータが出会った“ある男”とは……？ 時代を揺り動かす大きな波に呼応するように、新たなる伝説が生まれていく！ 大人気最強戦姫ファンタジー第８弾！
激動なのに静か、そんな奇妙な印象を受けた８巻。
やはり主人公の不在が大きい。どんなに激戦でもティグルの活躍が無いと盛り上がり切らないところがあるし、彼の不在は女性陣に暗い影を落とす。
そんな主人公がいないという珍しい状況で進む今回は、
前半は怪物・トルバラン率いる海賊ｖｓ二人の戦姫・サーシャとエリザヴェータの連合軍。
海上に出ても戦争描写の濃さは変わらず。船での戦い方の丁寧な説明と容赦なく殺されていく両軍の兵の姿で、流石の臨場感と緊張感が出ている。
とりはトルバランｖｓサーシャ。これまで何度もサーシャの病弱さを語られてきたので、圧倒的な実力を見せてくれていてもハラハラ感が凄いことに。そして、案の定と言うかなんと言うか激戦の熱も勝利の余韻も吹き飛ばす結末が待っていた。どこかではこうなるだろうと思っていたけど、こんなに早く来てしまうとは。帰還後のエレンとのワンシーンは泣ける。
後半はかなり脇の方のキャラクターまで登場させて、戦乱への布石を次々と打っていく。各国各陣営の人物の再確認にもなっているが、相当な人数で把握が大変。これは相関図が欲しいな(^^；
その中で強烈なインパクトを残すのが鎌の戦姫・ヴァレンティナ。予想以上にえげつない。ラスボス感が漂ってる
満を持しての主役登場……って記憶喪失かーい。オープニングでは普通の様子だったのに。
記憶喪失でも戦姫の心を掴んでしまうあたりは流石未来の王ティグル。でも、あなたがいないと全体的に元気がないんだ。早く本当の意味で帰ってきてくれ。
