いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ゴールデンタイム8 冬の旅」竹宮ゆゆこ(電撃文庫)

ゴールデンタイム (8) 冬の旅 (電撃文庫)
ゴールデンタイム (8) 冬の旅 (電撃文庫)

リンダとともに過ごした高校時代。卒業式の翌日の記憶喪失。そして大学での完璧な香子との出会い。以来、笑ったり泣いたり悩んだりしながら、楽しく輝かしい大学生活を送ってきた万里。
季節は秋、おまけんの活の様子を目の当たりにした香子はある決意を固め、柳澤や千波、二次元くん、そしてリンダはそれぞれの想いのもと、行動する。みんなの関係と、香子と万里のままならない恋の行方は!?
竹宮ゆゆこ駒都えーじが贈る青春ラブコメ、感動の完結!


え? ……え?
これで終わり? これ、ハッピーエンドなの?
戸惑いしかないが、とりあえず書こう。


前巻の衝撃のラストが引き起こしたもの、それは多田万里の崩壊。
精神的に万里が壊れていく様子は、もう青春とか恋愛とかそういうこと言ってるレベルの問題じゃなくなっちゃってるよ!と思いながらも、万里はもちろん、周りのみんなのままならなさをひしひしと感じて涙を浮かべつつ読んだ。
特に振り回される周りのみんなの頑張り、万里の失恋の傷をなんとか軽くしようとする岡ちゃんの優しさも、メンバーの関係を修復しようと手を尽くす二次元くんの奮闘も、ヘタレ道まっしぐらだったやなっさんが土壇場で見せてくれた友情と漢気も、引くことを知らないはずの香子の不器用な気遣いも、全部全部美しいものに思えた。
でも、最後だけが、大晦日の出来事だけが何度読み返してもそこまでの物語と繋がらない。万里とリンダが別人のように感じて、ラストシーンだけパラレルワールドに飛ばされた気分だ。
予定されたラストだったのか、アニメの終わりに合わせる為の急造のラストだったのか。形はハッピーエンドでも、一切ハッピーな気持ちになれなかった。


次の作品はシリアス過ぎない、面白い地の文“ゆゆこ節”が生きる話だといいな。