いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「Only Sense Online ―オンリーセンス・オンライン―」アロハ座長(富士見ファンタジア文庫)

Only Sense Online―オンリーセンス・オンライン― (富士見ファンタジア文庫)
Only Sense Online―オンリーセンス・オンライン― (富士見ファンタジア文庫)

【センス】呼ばれる能力を組み合わせ“唯一”の強さを目指すVRMMORPG――「オンリーセンス・オンライン」
親友のタクや妹のミュウたち廃ゲーマーが攻略に突き進む中、「ゴミ」「使えない」と名高い不遇センスばかりを装備してしまったゲーム初心者のユン。できることといったら、ひたすらポーションを生産することだけ……。そんな日々の中、ユンは“トップ生産者”として活躍するお姉さん・マギと出会う!
誰もが知ることのなかった、アイテム生産や補助魔法の可能性に気付いたとき、サポートスタイルに革命をもたらす“最強”の初心者プレイヤーが誕生する――!?


普通のMMORPG小説かと思いきや……。
予想外で面白かった。
ただ、個人的はかなりのヒットだが、これは万人受けするのか?


まず、はっきり言って小説としての完成度はあまり高くない。
ゲームはソフト面でもハード面でも説明不足気味で、その辺りを自分の知識や想像で補わなければならない。それに時間経過に時々違和感があったり、素人のはずの主人公が急に玄人っぽいことを言ったり「ん?」と思うことが何度かある。
そして読み手を選ぶ一番の理由が、主人公の特殊なプレイスタイル。
調合や錬金などの生産系のスキル(この作品ではセンス)を思考錯誤しながら一人でコツコツ上げていくという、かなりの地味プレイが展開される。
でも、この地味プレイが面白い。トライ&エラーを繰り返して一歩一歩進んでいく様子には、一緒にやっているような達成感がある。それに、この全く絵的には栄えないプレイを作品に出来るのは小説という媒体ならではだ。
コツコツやっていく作業ゲーが好きな人なら楽しめそうな作品。MMORPG小説に俺TUEEEや手に汗握る展開などを求める人には向かないと思う。