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「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝2 ソード・オラトリア」大森藤ノ(GA文庫)

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア2 (GA文庫)
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア2 (GA文庫)

真っ赤な血に染まる部屋、むせ返る鉄の臭い、そして頭部を潰された凄惨な冒険者の骸──。
怪物祭の騒動を無事解決したのも束の間、アイズ達は謎の殺人事件に巻き込まれてしまう。調査に乗り出す彼女達は、上級冒険者を手にかける凶悪な殺人鬼を追っていく内に、都市と迷宮を揺るがす事柄に直面する。
「なに、これ……?」
謎の宝玉をめぐって、地上と地下、二つの舞台が交差し、迷宮都市(オラリオ)に潜む闇が静かに蠢き出す!
これは、もう一つの眷属の物語、
──【剣姫の神聖譚(ソード・オラトリア)】──

外伝第二弾。2巻も本編2巻と同じ時系列の物語となっている。



今回は探偵小説の様な滑り出し。
1巻の事件・怪物祭中のモンスター騒ぎの真相を探るべく、オラリオの街で調査を進める神・ロキ(+置いてけぼりワンコ)と、冒険の途中で第18層・リヴィラの街で出くわした殺人事件を捜査することになったアイズを含むロキ・ファミリアのメンバーたち。その二つの事件が重なり始めると、物語も動き出す。
そして、高レベルな冒険者たちでも手に負えなくなりそうな、姿が見えない神の企みに背筋が凍る思いをしながら、目の前の敵「赤髪の女」の強さにも戦慄する。
アイズが押される姿も、感情的になる姿も初めてだ。
泰然としていて、落ち着いているというよりは何事にも無感動というイメージがあるアイズの内に、これほどの情熱と焦燥感が渦巻いていたとは。これが彼女の強さの源、急速なレベルアップの理由なんだね。クライマックスの無謀なボス戦は、強大な敵と対する高揚感やギリギリの攻防のドキドキよりも切なさを感じた。
この荒野のような心をベル君が溶かしていくんですね、わかります。ニヤニヤ。
外伝がこのままの流れで続くなら次は3巻の裏。3巻はアイズとベルの絡みが多い回のなので、彼女視点の心理描写が凄く楽しみ。