いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「カーリー III. 孵化する恋と帝国の終焉」高殿円(講談社文庫)

カーリー <3.孵化する恋と帝国の終焉> (講談社文庫)
カーリー <3.孵化する恋と帝国の終焉> (講談社文庫)

第二次世界大戦によりオルガ女学院が閉鎖されてから4年。大学進学したシャーロットは英国からインドへ想いを募らせていた。行方不明のカーリーとの再会を求める彼女に、美しき王子ル・パオンは驚くべき提案をする。「インドに行きたいなら僕と婚約すればいい」。少女小説の最高峰待望のシリーズ第三弾。

ファミ通文庫で2巻が刊行されてから8年の歳月を経て、ついについに3巻が登場。
物語はオルガ女学院が閉鎖されてから4年後、シャーロットが進学したオックスフォード大学から再会する。


初めは少々戸惑った。
オルガ女学院の頃は主にカーリーとシャーロットの関係をドラマチックにする舞台装置程度の役割だった世界情勢が、メインかと思うくらい事細かに説明されている。おかげでインドの近代史の勉強をしているような内容に面食らった形に。
そこから、これは間違いなく『カーリー』だと思わせてくれたのはやっぱり主人公・シャーロット。
四年経っても、どんなに博学になっても、シャーロットはシャーロットだった。自分の信じるままに突き進む頼もしくも危なっかしい姿に、途中からハラハラさせられっぱなし。そうなったら一気に物語に引き込まれていた。
そしてトドメはカーリーの登場シーン。そうだった、こいつこういう人を食ったようなやり方大好きだった。でも茶目っ気もあるから憎めない。今回はまさにヒーローって感じだったけど。
非常に面白かったし、『カーリー』が帰ってきたんだと実感した。良かった。
しかし、また気になるところで続くとか。殺生な。