いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「人類は衰退しました 平常運転」田中ロミオ(ガガガ文庫)

人類は衰退しました 平常運転 (ガガガ文庫)
人類は衰退しました 平常運転 (ガガガ文庫)

わたしたち人類がゆるやかな衰退を迎えて、はや数世紀。すでに地球は“妖精さん”のものだったりします。そんな妖精さんと人間との間を取り持つのが、国際公務員の“調停官”であるわたしのお仕事。わたしが所長になってからのクスノキの里のその後、知られざる妖精さんたちの裏の活動(あるばいと)、『世界人里ブックガイド』執筆をもくろむ旅、さらにはラブコメ風・わたしのデートの一日……? などなど、書き下ろしを大量に含む文庫本未収録エピソードを詰めた「おまけ」が楽しい食玩的短編集。今日もこの世界は平常運転です。


ロミオサンタからのクリスマスプレゼント(有料)だ、わーい。
いや、人退らしいブラックユーモアあふれる短編に、その後を覗ける後日談効果が合わさってかなり面白く、実際に最高のプレゼントだったんですよ。自費だけどね!w
書き下ろし分はその後という事で、お祖父さんが居ないのが淋しいが、助手さんがよく喋るようになってたり、黒服のKさんのキャラが確立してたり、相対的にYの存在感が薄くなってたりと、ちょっとした違いが何故か嬉しい。
後半の円盤特典小説の再録はわたしちゃんの一人+妖精さんの旅で、どことなく「キノの旅」風味。
あとがきで次も匂わせてくれているので、気長に待ちますか。




以下各話二言三言。というよりネタバレツッコミ?


はたらく妖精さんたちの、べんちゃーびじねす
ベンチャー感ないじゃないか!
この傲慢さ、大企業のようだ。妖精さんが使う側なのは珍しい。
そう、こうやって下請けは使い潰されていくのだ(血涙)
アベノミクスで社員の給料が上がればそのしわ寄せが下請け来るのは必然。その給料に見合うできる社員なんて一部で、大半は足枷なのに。それでなくても一部の真面目な人が割食ってなんとか回っているような世の中なのに、これでは……おっと。




はたらく妖精さんたちの、食品玩具
グ○コじゃねーか!
そう言えば最近みたことないな、あれ。当然まだあるんだろうけど。
ミニチュア大戦争の映像化ぷりーず。




過去からのメッセージ
こうして歴史は繰り返される……のか?
予想外の経路を経て冒頭に戻ってくる話は短編の常套だけれども、この経路は予想できなかった。
でも、内容はともかくとして最近の若者が集まっても、こんな活発な議論は展開されないと思うの。




妖精さんの、ないしょどうぐ『食器伝承』
伝説の武器も妖精さんたちにかかれば形無しだw
食材を切ると鮮度が戻るらしい『ろぎんぬす』が欲しい。グラムが図れる『ぐらむ』も良いかもと思ったけど、そういや分量量って料理することないや。
次回は村正とか草薙の剣とか出てくるんです?




おふたりさまで、業務活動記録
デートじゃねーか! デートじゃねーか!(大事なことなので(ry
まさかまさかのわたしちゃんと助手さんのデート。人目を気にしてるあたりが初々しくてニヤニヤが止まらない。そして二人とも普通に楽しそう。手近なところでまとまる。良いと思います!




妖精さんの、ないしょどうぐ1〜3
ドラ○もんじゃn……ねーや。
どこかで(主に金曜夜7時)に見たことある便利道具かと思いきや、副作用がとんでもなかった。便利には相応の対価が必要ってことですね、わかります。




三つの村における需要と供給とそれ以外の何か
amazm○nじゃねーか!
ごめんなさいすみません。と唐突に謝りたくなる話。普通の人はなりません。私みたいな人がなります。
俺を含めてクズばかりだとか、ラストの佐川村カーゴ村の暴露など最もブラック。ゆえに面白い。




民族の再発見にまつわる不都合な真実
不正受給じゃねーか!
こういう輩には相応の制裁が、と思ったら珍しく明るいオチ。でもこれ、妖精さんが飽きたら……。
そんなことよりビキニアーマーわたしちゃんかわいい(口絵)




村起こしの成功の影に潜むさして意外でもない真相
ディ○ニー……かな?
一つのアトラクションに一時間も二時間も並べる忍耐力に素直に感心する。
ここのは安全性が確保されていても乗りたくないものばかりだったなあ(^^; あと、モンゴル式回転木馬in戦場に乗れる年齢制限のギリギリだったことが地味にショックだったw
どうでもいいけど漢字で書くなら「村興し」じゃないのか?




フルーツ、だめ、ぜったい?
ダメ!絶対!
タイトルから危険ドラッグネタなんだろう思いながら読んでいたのに、その気が全然出てこなくて首を捻っていたら、まさかのところに落とし穴が。この落とし穴も含めてのこのネタか。
初出の時期を考えると当時の呼び名は脱法ハーブだったね。




君主制度に果たす菓子類の役割
これがホントの街と街の戦争だ!……こわっ
妖精さんが牛耳るこの世界ならお菓子の役割は無限大でしょう。尽きた時はどうなるか知らんけど。




旅の手土産に最適なもの
この子が学校に入るとどうしてこうもドロドロしてしまうだろう。
手土産? 最適? え?