いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「フレイム王国興亡記3」疎陀陽(オーバーラップ文庫)

フレイム王国興亡記 3 (オーバーラップ文庫)
フレイム王国興亡記 3 (オーバーラップ文庫)

テラ港湾事業に弾みをつけるため奔走するコータとエミリ。一方、ソニアはコータの手法ではテラを幸せにできないと一計を講じる。テラをより良くするため――目的は同じなのに空回りする想いと生じる隙。テラを狙う狡猾な“悪魔”たちがその隙を見逃すはずがなかった――。ソルバニア国王カルロス1世と若き天才商人レインが繰り出す一手に翻弄されるテラ、そしてエミリ。絶対絶命のピンチで“魔王”コータの魔法は通用するのか?
「それでは――反撃、開始ですね?」
普通の『銀行員』が世界のルールに挑む異世界エコノミックファンタジー、第三幕は全編完全書き下ろし!

うーん、最後までこれかあ。
ストーリーは自体は非常に良かったとは思うんだ。
いつまでも浩太の俺TUEEE状態では面白くないので、窮地に陥る展開は大歓迎だし(まあ、株式初心者の異世界人が現代人に勝つ姿はあまり想像できないが)、商人に騙されたエミリを助けるために、相手と同じような手口で意趣返しするやり口も痛快だった。
それにヒロイン的には完全なエミリ回だったのも、エミリ押しの自分には嬉しい。本音を吐露する姿、そして泣き顔、最高でした! 書き下ろしでここまでエミリ押しだと、もう出番が回ってこないんじゃないかという一抹の不安があるけど、主人直々に参戦権を貰ったので大丈夫だろう。
ただね、肝心の取引の内容がね。
どれも言った言わないの水掛け論みたいなんだもの。騙し騙されが商人の基本と言っても、「主語を言わないだけ」の会話は何か違う気がする。
頭の回転の速さや機転の利かせ方で戦う頭脳戦を読みたいのに、言葉の綾で相手を騙す手法しかなくて正直に言ってがっかりした。2巻で最もスリリングだったカルロス一世との駆け引きと比べると、大きく見劣りする。
反撃に出るであろう次巻での浩太の「機転」に期待する。