いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「逆道の覇王戦記」空埜一樹(ダッシュエックス文庫)

逆道の覇王戦記 (ダッシュエックス文庫)
逆道の覇王戦記 (ダッシュエックス文庫)

かつて異世界アラムヴェルトに召喚を受け、世界を救い、英雄となった黒瀬亮真は、三年後のある日『二度目』の召喚を受ける。
だが自分を召喚したのは、彼が滅ぼした悪しき帝国の皇女アイリスだった。アイリスは帝国の悪行を反省し、国が復興するまで亮真に新しい皇帝になって欲しいという。苦悩の末に承諾した亮真は、アイリスと諸国を回る度に出る。
そして向かったのは四大聖国の一つ、ティタニア。そこは最初に亮真を召喚した国で、王女ガーネットは再び現われた亮真に歓喜する。しかしそれも束の間、アイリスの話を聞くやガーネットは「リョウマ様は騙されている」と激怒してしまい……。
史上最大の“リバース”英雄譚、開幕!!


一度助けた異世界にもう一度呼ばれた英雄の物語。舞台が平和になった世界とあって、ファンタジーではあるがバトルはあまりなく、ラブコメ重視の内容になっている。
主人公は良くも悪くも普通の高校生。
本を開いてすぐの口絵で、あまりにも堂々と“している”ので、もっと食えない奴か英雄色を好む的なラノベらしからぬ主人公を予想したのだが……まあ、ないかw
ヒロインは世間知らずロリ皇女とストーカー気質王女のダブルヒロイン
二人合わさると自然と火花が散って面白くなるのだが(ラストにその片鱗だけ見せる)、今回はほとんどが別々の登場なのでそのキャラクター性は生きていない感じ。
そんなメインの登場人物を押し退けて目立っていたのが、喋る鎧“マンゲツ”
性格は現金でお喋り、出てくる台詞はゲスい下ネタばかりという最も濃いキャラクター。あまりに明け透けな物言いと、主人公や皇女との掛け合いが楽しく、これがこの作品の売りと言っても過言ではない。
ファンタジーとして読むと物足りなく感じるが、ラブコメとしてはなかなか。