いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「かくりよの宿飯 二 あやかしお宿で食事処はじめます。」友麻碧(富士見L文庫)

かくりよの宿飯 二 あやかしお宿で食事処はじめます。 (富士見L文庫)
かくりよの宿飯 二 あやかしお宿で食事処はじめます。 (富士見L文庫)

あやかしの棲まう“隠世”にある老舗宿・天神屋。女子大生の葵は、その大旦那である鬼神のもとへ、亡き祖父の作った借金のかたに嫁入りさせられそうになる。
持ち前の負けん気から、あやかしたちの前で「借金は働いて返す」と宣言した葵。九尾の狐の銀次に助けられつつ、得意の家庭料理を武器に、ついに天神屋の離れに食事処「夕がお」を開店させた。
だが、鬼門中の鬼門といわれるその場所は、一筋縄ではいかない。立地条件の悪さ、謎の営業妨害、そして予算削減など、「夕がお」の前途は困難ばかりで……!?

お食事処「夕がお」開店。
ついにタイトル通りに宿飯が始まったことで、質でも量でも飯テロ力が大幅アップしている。
しかも、そのどれもがお手軽で素朴な家庭料理で、容易に想像出来てしまうので余計に腹が減る。そこに葵なりの一手間が加わっているのがにくい。マヨネーズを使わない和風ポテトサラダは今度真似しよっと。その一番最たるものが角煮。これは卑怯だ。作中では故郷の味で老婦人を泣かせていたが、一緒に読者も泣ける。食べれない悔し涙でw
また、葵があやかしたちと交流して理解を深めたり自分が成長していく人間?ドラマも健在。
帰郷の想いや祖父の話が一気に減った一方で、相手(あやかし)を知ろうと積極的に動く葵が魅力的。負の感情を感じさせない彼女の性格や考え方にほっこりする。相変わらずの危なっかしさは、まあ持ち味よね。
物語も料理も一巻以上に良かった。
ぶつぶつ文句言いながらも大旦那様といい雰囲気になっている一方で、幼少期の葵を助けたのは銀次の可能性が高まって、今後は恋愛模様も楽しみ。