いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「真白、はじめてのお伊勢参り」行田尚希(メディアワークス文庫)

真白、はじめてのお伊勢参り (メディアワークス文庫)
真白、はじめてのお伊勢参り (メディアワークス文庫)

おいら、柴犬の真白。
春ちゃんが重い病にかかってしまった。そんなとき、「伊勢という場所に大神宮があって、そこには八百万の神様の中でも一番大きな力をもつ神様がいる。その神様にお願いすると、なんでも叶えてもらえる」って聞いたんだ。
おいら、伊勢に行くよ!
そして、大好きなお春ちゃんを元気にしてもらうんだ!!
でもさ、伊勢ってどこ?
江戸から伊勢まで約470kmの波瀾万丈の旅。真白は無事、伊勢に着けるのだろうか?


時は江戸時代。人の言葉を理解する賢い犬が病気で臥せっている大事なご主人の為にお伊勢参りに行く物語。
……だと思ったら、アホの子じゃないか! 食べ物のことばかり考えていて道すがら何か貰って食べているし(しかも甘いものばかり)、警戒心皆無だし、全然賢くなかった(苦笑) でも、馬鹿な子程可愛いと言うけれど、おバカなワンコも可愛いのであった。
そのアホの子・白い柴犬の真白と、行く先々で助けてくれる人間との交流が綴られる人情もの。起きる出来事は良い事ばかりではないけれど、楽天家な真白の視点で語られるので深刻な雰囲気にはならずに、基本笑えて時々ほろっとくるいい話になっている。中でも、犬だから言葉が分からないだろうと真白に話しかけてくる人間たちの愚痴だったり弱みだったり、相手が人だったら言わないような本音が見えるのがミソ。その訴えに犬ながら精一杯答えようとする真白だから、出会うみんなに愛されるんだろうな。色々と出来すぎなのはご愛嬌。
また、助けてくれる人たちの中に江戸後期の有名人が混じっているのが特長。諸先生方の年齢を考えると時代設定は西暦1800年くらい?*1
柴犬真白の茶屋巡りお気楽東海道中、時々有名人も出るよ! ある意味ラノベよりもライトノベルらしい明るく楽しく軽く読める一冊だった。

*1:伊能忠敬の測量記録を調べれば年数は特定できるだろうけど、そこまで厳密には考えていないだろう。真面目に考えたらこんなに会えるわけないしねw