いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「英雄都市のバカども 〜王女と封鎖された英雄都市〜」アサウラ(富士見ファンタジア文庫)

英雄都市のバカども ~王女と封鎖された英雄都市~ (ファンタジア文庫)
英雄都市のバカども ~王女と封鎖された英雄都市~ (ファンタジア文庫)

かつて戦乱から街を守り切った英雄たちの末裔が住む辺境都市・リキュール。その血は、今も脈々と受け継がれていた。
身の丈ほどの大剣を操る無双のシスコン自警団長、誰にもそのお尻を触らせない眩惑の看板娘、鋼のごとき硬さの絶品パンを焼く職人、大岩を軽々と担ぐ剛力の大工(手抜き)……。
そんな、毎日がお祭り騒ぎのこの街に暮らす、ワケありビンボー何でも屋モルト。彼のもとに、祖国を追われた王女が逃げ込んできた!彼女を追う帝国は、圧倒的大軍で街を包囲する。
窮地のリキュールだが、可憐な少女を見捨てるなんて選択肢は、英雄の血を引くバカどもの頭にはもちろん存在せず――!?

めっちゃ面白かった! でもこれ完全におっさん向けラノベだ。
人名や地名で酒の匂いを漂わせてからの、お得意の飯テロ描写で呑み気を誘う。なんだそのブイヤベース。食わせろ! これからの季節にグラタンとか最高に決まってるだろ、ちくしょうめ! 酒は洋酒、食い物は洋風とちゃんと合うもので揃えてあるのがまたにくい。
そして語られる物語はシリアスをギャグで圧倒するハイテンションで九十年代臭溢れる勧善懲悪な物語。
正統派ファンタジーの世界観で、ごちゃごちゃっとした感じのする下町情緒と、ならず者の町の雰囲気が混ざった活気あふれる街・リキュールが舞台。
そこで起こるのが、普段はダメ男、下ネタ上等、女の子には滅法弱いという三拍子そろった昭和主人公を筆頭に、竹を割ったような性格の気持ちが良くてノリのいい街の住人達が起こす大掛かりなバカ騒ぎ。それが一人の女の子を助けるためっていうのは「痛快」の二文字がピッタリだ。おかげで酒の肴にピッタリだ。
どこか初期のドラゴンマガジンの香りがする作品で、どストライクだった。若い子に刺さるかどうかは知らんw




絵的に面白いシーンが多いからアニメにしても栄えるだろうなと思ってみたり。
荒縄で縛られ引きずられながら淡々と作戦を説明する議長とか動画にしたら笑うに決まってる。……あ、大事なラストバトルがモザイクだらけになるから無理かー(ノ∀`)