いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「晴追町には、ひまりさんがいる。 恋と花火と図書館王子」野村美月(講談社タイガ)

晴追町には、ひまりさんがいる。 恋と花火と図書館王子 (講談社タイガ)
晴追町には、ひまりさんがいる。 恋と花火と図書館王子 (講談社タイガ)

夏祭り花火の目玉”虹のエール”三百玉が消失! 現場には、『ごちそうさまでした』と書かれた、犬の足跡つきの紙が……!
事件に遭遇した大学生の春近は、どんな謎もきれいにしてくれるひまりさんに相談を持ちかける。電話ボックス落書き事件、町のアイドル・図書館王子の恋心、傷ついた少年の秘密――晴追町の優しくも不思議な事件を、春近は彼女と解決に乗り出すが……?


昔ながらの下町の風情がある晴追町で起きる小さな事件を、最近越してきた大学生の春近の目線で送るハートウォーミングストーリー第二弾。
陽だまりのようなひまりさんの存在と、少々お節介が過ぎる町の人々(主に奥様方)、そしてそんな町の色にすっかり染まった春近のお節介によって、前回以上にほっこりする話になっている。
特に印象に残ったのが第二話(全四話+α)
このシリーズに出てくる登場人物はどこかズレた感性の持ち主ばかりで、共感して読むというよりも客観的に読むもので、心温まる物語なのは間違いないが読者視点以上になることはないと思っていた。実際、今回も他の三話はそうだった。
それが第二話の女子大生だけは、表の顔は八方美人で腹の底にはどす黒いものが溜まっているという極々普通の感性の持ち主。裏の顔がかなり尖がっているので苦笑するところもあるが、感じている不安がとてもよく共感できた。それに好きと嫌いは紙一重に対する苛立ちも。やっぱり無関心が一番怖いよ。ね、巴崎さん。
さて、いわゆる衝撃のラストで終わているがこの先の二人の関係は?(まあ、ひまりさんにはLikeと取られ、本人はやっちまったと凹む未来しか見えないが(^^;)
とりあえず続きそうなラストで良かった。続きが読めそうなのが何より。