いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「家庭用事件」似鳥鶏 (創元推理文庫)

家庭用事件 (創元推理文庫)
家庭用事件 (創元推理文庫)

『理由あって冬に出る』の幽霊騒ぎ直前、高校一年の一月に、映研とパソ研の間で起こった柳瀬さんの取り合いを描く「不正指令電磁的なんとか」。葉山君の妹・亜理紗の友人が遭遇した不可解なひったくり事件から、これまで語られてこなかった葉山家の秘密が垣間見られる「優しくないし健気でもない」など五編収録。苦労性で心配性の葉山君は、今日も波瀾万丈な高校生活を送る!

実に三年ぶり、久々のシリーズ第6弾。



柳瀬さん分が足りない。
前の巻で葉山君の本心が聞けたから、何かあるんじゃないかとちょっと期待してたのに。まあ1話1話が繋がっている短編集ではなく、あれより後の話は五話目しかないから何もないのは仕方ないか。でも、それを差し引いても柳瀬さんの出番が少なくて残念だ。渋る葉山君を柳瀬さんが引っ張って事件のあらましを暴き、最後はビックリドッキリメカの如く伊神さんが解決するシリーズというイメージが出来上がっているので、事件の初めから葉山君が自発的に動いていることにちょっと違和感があった。なんてぶつぶつ文句を言いつつも、三年ぶりでも変わらないお馴染みのメンバーのやり取りを楽しんでいたのだけど。
ミステリとしては短編とあって解りやすくあっさりと。
犯人、トリック、動機の中では動機が解り難いが、このシリーズには短編に出てくると高確率で犯人の奴がいるので、そいつを中心に物事を考えればなんとなくでも解ってしまう。「犯人はヤス」ならぬ「犯人はミノ」だなw
……と思っていたら、五話目でやられた。
これがあらすじにある葉山家の秘密か! 妹が初めて出てきたのがいつだったか覚えていないが、何巻も掛けた壮大な叙述トリックをみた。でも、伊神さんと普通に会話してなかった? この巻でもその前も。……ああ伊神さんなら出来てしまうのか。万能だからなあ。
あとがきにシリーズは続くと明言されていてひと安心。次はもっと柳瀬さんを!





装丁絵師変更について一言
動かしやすそうな絵だなと。まあ要するにそういうことなんだろう。
途中で立ち消えになることもよくあるらしいから、過度な期待はしないでおく。