いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「はま高登山部ダイアリー」細音啓(ガガガ文庫)

ほま高登山部ダイアリー (ガガガ文庫)
ほま高登山部ダイアリー (ガガガ文庫)

登山に青春をささげるあまり、恋愛を知らずにいる少女たち。そんな女の子に恋した少年は、高校入学を機に彼女に「好きだ!」と告白を。しかし悲しくも「登山が好きだ」と勘違いされ、未知の登山部へと強制入部することに!? そこで味わう、初めての知識や経験の数々。彼は少女と過ごせる一緒の時間が嬉しいだけでなく、いま、ここでしか味わえない、先輩や仲間との青春の良さも感じたりして――。山に恋するあまり恋愛感性ゼロの山ガールに、果たして少年の思いは届くのか!? 青春の坂道を駆け上がれ! !登山部ラブコメ一合目!!

細音啓、初のガガガ文庫。初(多分)の現代が舞台の青春ラブコメ



元々作者の透明感のあるファンタジーが好きだった。でも最近はコメディパートのテンションが変に高くて敬遠していたのだが……。
これは良い。尖がったところがなくて、とても普通。でもそれが心地いい。
告白失敗から始まる物語にしてはラブ要素が薄い。というよりラブコメしなくちゃと変に力が入っていなくて自然体。青春とラブコメに分けると、程よく青春側に針が振れてる感じがして爽やかな印象を受けた。
その爽やかさを作っているのがキャラクターたち。
主人公冬馬は“普通っぽさ”が良い。ヒロインに対しても変にキョドることも無ければ、先輩の弄りに過剰に反応することも無ければ反応しなさすぎることもない、実にいい塩梅。お相手のヒロイン・縁は生粋の空手少女という要素が、大和撫子な印象とメインヒロインとしての清純性(防御力も高い)を作っていて、メインの二人共に清潔感がある。
また、脇を固めるサブキャラの先輩方は、ちょっとイタズラ好きの姉御肌部長・マリに筋肉フェチの副部長・司馬、残念金髪巨乳美少女・ガブちゃんとキャラはしっかり立っていながら、くどくなく過度に目立つこともなく後輩たちを立ててくれている。
それに、意外(?)と部活ものとしてもしっかりしている。丁寧に語られる登山初心者の心得がためになる。アウトドア=カレーのイメージあるなあ。登山には向いていない理由が目からうろこだ。
とても雰囲気のいい青春ラブコメだった。この子たちの物語ならずっと読んでいられそう。是非とも続刊をお願いしたい。