いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「神さまの百貨店 たそがれ外商部が御用承ります。」佐々原史緒(富士見L文庫)

神さまの百貨店 たそがれ外商部が御用承ります。 (富士見L文庫)
神さまの百貨店 たそがれ外商部が御用承ります。 (富士見L文庫)

服部美苑は横浜の老舗百貨店に勤めるデパート・ガール。接客が好きで選んだ仕事だったけど、ある時を境に神様らしき幻覚を見てしまう。やがて下った辞令の異動先は銀座本店の“特別”外商部。そこは本当にいた神様を、お客様としてもてなす部署だった!
毒舌な先輩の泰原や狸部長、百貨店の神タケハルさまと、部署の仲間も曲者揃い。彼らと共にてんやわんやでお客様の御用を伺ううちに、美苑は訪れる神様たちにも悩みがあることを知って……?
神様だってお客様! 想いを伝える商品の取り揃え、承ります。


突然神様などの人非ざる者が見えるようになってしまったデパートガールの物語。
すごく久しぶりに読んだ気がする佐々原さんの女性主人公。かなりの理不尽に見舞われながらも、持ち前の明るさと少しの天然さで乗り越えていく女の子像。良い。脳内ツッコミ力の高さも好きだ。嫌な気がしない万人に愛されそうなキャラクター作りが本当に上手い。  
あとは案の定と言うか作者らしくゆるかった神様たち。百貨店の神タケハルさまを筆頭に、現代風にこなれた神様たちとのやり取りが楽しい。どの神もキャラ濃くて凄かった、脱力感が。萌えイラストの中身にクレームをつける金魚の神が一番かな。でも夏海ちゃん(竜神の娘)は可愛いから許す。
それでいて、各話最後はシビアな話でピシッと締めていくのが良いところ。人と神々では物事の考え方が根本的に違うというところからどう歩み寄っていくかがメインのテーマになっていて、どの話も心温まる話になっている。
最近食傷気味な神様・あやかしの話ではあったけど(特に富士見Lは「あやかし」多すぎませんかね?)、好きな作者の色がよく出ている話で自分としてはとても面白かった。