いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「異世界食堂4」犬塚惇平(ヒーロー文庫)

異世界食堂 4 (ヒーロー文庫)
異世界食堂 4 (ヒーロー文庫)

家族を持ったことのない、遠い異世界からやってきた女。家族を失い遠い大陸から戻ってきた男。終戦間もない混沌の時代に二人は出会った。女ができた仕事はただ一つ。魔王を狩ることのみ。男ができる仕事はただ一つ。料理を作ることのみ。やがて女と男は店を持ち、家族を作り、そして異世界の客を招く。かくて始まりし『異世界食堂』。毎週土曜日にだけ開くこの店は、絶品の料理で多くの客をもてなす。『洋食のねこや』、創業五十年。『異世界食堂』、開店三十年。今日も、チリンチリンと扉が開く。

じゃが芋の異世界での名前がダンシャクだから誰かが持ち込んだんだろうな、とは思っていたが、、、あんたの所為だったのか!
そんなわけで、洋食のねこやの異世界での影響力の強さに対する認識を改めなければならないシリーズ第4弾。いやまあ、そんな深刻な話ではないけどw
これまでも今回も国家間の政治面から夫婦仲まで幅広く、でもさり気なく好影響を与えてきたと思っていたので「ポテトチップス」はなかなか衝撃的な内容だった。国のあり様が変わってしまっているじゃないか。でもこれのおかげで戦後魔族が生きながらえて、結果アレッタがこの店に来たんだと思うと感慨深い。
また今回は、店主の祖母の登場で50年前の洋食のねこやの開店とそれにまつわる大事な話があり、ねこやが異世界食堂になった経緯までありと、『異世界食堂』の根幹が語られる大事な回でもあった。この人にこの世界で死にたいと思わせるほど惚れさせるなんて、爺さんやるなあ。
ちなみに飯テロ力は相変わらず極めて高い。
基本的に形と色だけシンプルな見た目の描写と、未知との遭遇・新鮮な感動をもって食欲を大いにそそってくる。作者自身は何度も食べているだろうに、あたかも初めて食べたかのような感動を紡ぎ出せことに毎回感心する。
ねこやの店周りの話はかなり深いところまで出てきたから、そろそろあれこれ匂わされていた店主の過去が語られるのかな?