両親も友達も趣味もない、何もない日々を過ごしていた小熊が、スーパーカブを買って数ヶ月。季節は変わり、南アルプスの麓に吹く風は日に日に冷たくなっていく。かじかむ指。かかりにくくなるエンジン。肺が凍りつく向かい風。雪の積もった道路――同じくバイク乗りの礼子と共に、試練の季節へ挑む小熊。カブとの出会いで少しずつ変わる彼女のことが、同級生の恵庭椎は気になってい…て…。少女たちとバイクの、厳しく楽しい冬が始まる。
1巻で、か弱い根暗少女からいっぱしのカブ乗りへと成長した小熊。
続刊は嬉しいけど、小熊に成長の余地はあまり残っていないのに何するんだろうと思っていたら……スーパーカブがとんでもないモンスターを育ててしまっていた。
小熊ちゃんたら言動が一々過激。1巻の終わりくらいからその気はあったけど、ここまでワイルドになってしまうなんて。クラスの誰とも喋らずひっそりと暮らしていた女子が、弁当箱代わりにメスティンを買って、米炊いてドヤ顔でガッツポーズ決めるような子になるなんて誰も思わないでしょうよ。81ページの挿絵ずるいわwww
おかげでこの2巻では、新キャラの小柄なクラスメイト・椎を加えて小熊と礼子とで女子高生三人の日常、一編の短さから設定だけならまんがタイムきらら系にありそうな日常系四コマ風小説のはずが、読んでいると大学生男子3人のバカ騒ぎを読んでいる気分になるという、大層不思議な作品になっていた。
新キャラの椎が可愛らしいのは背格好だけで、中身は両親の喫茶店の乗っ取りを企む(←言葉が悪い)自立した少女だったのも大きな要因。まあ、このくらいのバイタリティがないと、普通の女子高生の枠から大きく逸脱した小熊と礼子の友達なんてやってられないよね。
本題のスーパーカブに関しては、今回は一貫して冬対策。山梨の厳しい冬を乗り切るための試行錯誤が語られるが、ここは少々くどかった。ハンドルカバーの件(くだり)とウインドシールドの件、ほとんど中身が同じじゃないか(^^;
成長と質実剛健だった1巻と比べると、ワイルドと冒険でどこかシュールな笑いを提供してくれた2巻。面食らうぐらい毛色は違ったけれど、これはこれで面白かった。