いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「かくりよの宿飯 七 あやかしお宿の勝負めし出します。」友麻碧(富士見L文庫)

かくりよの宿飯 七 あやかしお宿の勝負めし出します。 (富士見L文庫)
かくりよの宿飯 七 あやかしお宿の勝負めし出します。 (富士見L文庫)

あやかしの営む老舗宿・天神屋で食事処を切り盛りする葵。秋祭りでの営業も盛況のうちに終わり、隠世の中心・妖都へ出張の大旦那様を見送った。
ところがその帰りを待つ葵たちの前に、天神屋を目の敵にする大物あやかし・雷獣が現れて、不吉な宣言を下す。鬼神の大旦那はもう戻らない、この雷獣が新たな大旦那となるのだ、と――。
天神屋史上最大の危機!銀次たち従業員は団結して動き出す。そして葵も大旦那様を捜すため、妖都へ向かう宙船ツアーの屋台で料理を振る舞うことになり……!?

大旦那様の身に何が!?なシリーズ7巻。
隠世の地の歴史と政治が語られたり、天神屋の成り立ちと大旦那様の秘密が語られたり、ラストに向けて着々と地固めしているような話だった。この展開とあとがきの口振りからして、大旦那様救出劇が最後の大イベントなのだろう。気になるのはその後の二人の仲なのだけど。このタイミングで銀次のあの幕間を挿し込んでくる意味は……色々と妄想してしまう。
そんなわけで、大旦那様不在で天神屋はバタバタ、隠世全体はザワザワしている中、我らの葵さんはというと、、、いつも通り料理を作りまくっておられました。料理しかできない自分、後の世に伝えられる様なものがない自分に悩みつつ、それでも手を止めず作りつづけながら答えを探していけるのが葵の強さだろう。
とまあ、手を止めなかったおかげでハンバーガーに始まり、クリームシチューに高菜ピラフ、ボルシチにマカロンにと、今回も出てくる出てくる和一辺倒の隠世に一石を投じる葵料理の数々。家庭料理かB級グルメかという気取らない感じがとても良い。
イチオシは大根入り芋餅かわさび丼という名の醤油かけご飯か悩むところ。カリカリもちもちの芋餅はツマミに持って来いで、わさび丼は絶対に旨い薬味と醤油の組み合わせに醤油かけご飯の背徳感がプラスされるので甲乙付けがたい。あとは葵が作ったものではないが、水菜たっぷりの水炊きも魅力的だった。今年は(今年も?)水菜に限らず葉物が高くて。春菊なんてどこの高級食材?と言いたくなるお値段だもの。
今回も流石の飯テロ力だった。ご馳走様です。次回でヒロイン(♂)救出までいくかな?