ティル=ナ=ファを喰らったガヌロンを、ティグルたちは死闘の末に討ち果たした。だが、その代償としてエレンたちの竜具は力を失った。その場にいなかったヴァレンティナのみが竜具を保持し、ソフィーは彼女の凶刃の餌食となる。玉座まであと一歩というところに迫ったヴァレンティナと戦うべく、ティグルは残された戦姫たちと連合軍を結成。ジスタート史上最悪の混乱を鎮めるべく、周囲の後押しも受けて、ついに王となることを決意する。国の枠を超えて、仲間たちの想いを背負って挑む決戦。辺境の小貴族からはじまった弓使いの若者は「魔弾の王」の新たなる伝説を打ち立てることができるのか――大ヒット最強美少女ファンタジー戦記、堂々完結の第18弾!
シリーズ最終巻。
タイトル通りにティグルが「魔弾の王」として君臨し、大団円を迎えての納得のフィナーレ。完結を1巻伸ばした分、丁寧なラストになっていて良かった。
完結編でも戦記ものらしく戦役が二つあったのもそのおかげだろう。
最終決戦よりはその前の北の蛮族との戦いが印象深い。竜具がなくティグル不在でも彼のような戦略で戦姫たちの姿に、彼女たちの中のティグルんも存在の大きさを感じたり、これまでの戦いが思い起こされて感慨も一入だった。
最終決戦の方は、ティグルが王になる流れに入るのが予想外に遅くてヤキモキしていたのと、戦後のヴァレンティナの結末の方が印象が強くて。野心の人なので死以外の決着は無いことは分かっていても、最期があまりに意外で複雑。戦場で散って欲しかったような、武より文の彼女らしい最期のような。
それはそうと、ティグルさん。あなた、、、絶望的に王冠が似合わないですね!w
本文での笑いどころは、新たに大鎌の戦姫になった少女が放った一言だったけど、281ページの挿絵でも同じくらい笑った(もちろん片桐先生の絵が悪いのではなく、むしろティグルの顔がしっかりしているからこそ、その上に乗っているものの違和感が強い)。
またハーレムものとしても、ヒロインたちみんなが笑顔で終われて本当に良かった。常に身近な人の笑顔の為に戦い続けてきたティグルらしい結末だ。
最終的に一番美味しいポディションに収まったがあの人だったのはかなり意外だったけど。彼女が報われて嬉しい反面、エレンの影が薄かったのが心残り。もっとエレンとのイチャイチャタイムが欲しいところだったが、二人の立場と尺的に仕方あるまい。幸せいっぱいのラストシーンで満足しよう。
野心のない田舎出の一人の青年領主が、仲間と実績を少しずつ着実に積み上げて王にまで上り詰める壮大な一代記。六年半もの長丁場なシリーズで、一度も垂れることなく大きな間が開くこともなく楽しませてくれた川口士先生に最大限のお疲れ様でした&ありがとうございました。