いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「俺、ツインテールになります。14」水沢夢(ガガガ文庫)

俺、ツインテールになります。 (14) (ガガガ文庫)
俺、ツインテールになります。 14 (ガガガ文庫 み 7-19)

アルティメギルの侵攻も一時的に落ち着き、大晦日に初詣にと平和な冬休みを満喫する総二たち。一方、暗躍による暴走が度を超し始めたマーメイドギルディと、敗戦続く神の一剣。組織の混迷に、いよいよアルティメギル首領がその神秘のヴェールを脱ぐ!? そして、もう一人のテイルギアの戦士・結翼唯乃が総二たちの前に現れる。有耶無耶になっていたテイルレッドとの決着を望む唯乃に対し、総二は何とかして彼女と仲間になろうと考えを巡らせる。果たして総二の思いは、頑なな唯乃の心を揺り動かせるのか!?

思い悩むトゥアールの回……と見せかけて、フェニックスギルディこと結翼唯乃(←これもうどっちを先にするのが正解かわからない)が全てを掻っ攫っていった。
今回の主人公枠はもちろんのこと、ヒロインズが現状維持に甘んじている間に唯乃がメインヒロインの座を奪い去っていき、そのまま誰も追いつけない高みへと昇っていってしまった。ああ……燃えでも萌えでも総二の相方はお前しかいねーよ。
と、このシリーズには珍しくしんみりしてしまったけど、何食わぬ顔で帰って来てくれるだろう。彼女はフェニックスなのだから。
気を取り直して今回は、ヒーロー大戦が終わって日常パート長めの通常回。
但し、その日常パートはやや低調。
トゥアールの不調に愛香の謎の余裕が重なってど突き漫才がキレが悪かった。それにインパクトのあるツインテールもなかった。もう登場人物たちも読者もツインテール慣れしてしまっているから、ちょっとやそっとのツインテールでは動じなくなってしまっている。シャークがもう少し頑張ってくれればなあ。
でもその分、アクションの方は好調。
ガガガ文庫の他作品から出張してきたような妹属性の強敵との戦いもさることながら、クライマックスの首領vs唯乃が熱い。特に終盤は久々にツインテールゲシュタルト崩壊を起こしそうで、「よく分からないけどなんか凄い」感が出ていた。この感覚がこのシリーズならではの持ち味だ。
ついに首領も姿を現し、クライマックスに向けて再加速間違いなし。最後まで目が離せない。